日本郵政の年賀状CMが、悪質すぎる件。
久々に、酷いCMを見ました。
日本郵政の年賀状CMです。
年賀状を出す人が若い世代を中心に、減少傾向にあることは周知の事実だと思います。
それに歯止めをかけようと、日本郵政が考え出したアイデアがあまりに酷い。悪質すぎる。
CMのキャチコピーは、
ちゃんと、年賀状。ちゃんと、大人。
ちゃんと年賀状を出す人が、ちゃんとした大人という主張です。
日本郵政は、この思想を世に知らしめることで、同調圧力を利用して、失われつつある年賀状の風習を再興させようとしているのではないでしょうか。
文化や空気を醸成することで、消費者をコントロールしようとする広告手法は、昔からしばしば見かけるけれど、年賀状でこれをやるのは本当に酷い。
いっとき、お歳暮のビールがプレモルじゃなきゃ失礼くらいの空気感が醸成された時期もあったりしましたが、プレモルはあくまでいち商品だから許せるのであって(別にビールが嫌ならハム贈ってもいいじゃないですか)、今回のように年賀状という大きなカテゴリーでこれをやられると、消費者として避けようがないので迷惑です。
どういうことかというと、広告キャンペーンにおいて、ゼクシィは決して結婚しないとヤバいとは言わないし、トヨタは車を持ってないと社会人失格とは言いません。三菱東京UFJ銀行は貧乏人にくたばれとは言わないし、タマホームは持ち家のない人を否定したりはしません。
良識のある企業なら、たとえ自社のサービスが属するカテゴリーそのものに興味のない人がいたとしても、その人たちをあからさまに否定するようなメッセージは、送らないのが普通なんです。
買わないとヤバいよ。的な手荒なテクニックを用いるのは正直、健康食品のDMとか、どうにも胡散臭い類のものだけではないでしょうか。
そういう意味でも、今回の日本郵政のやり口は非常にゲスいと思います。さすがにCMのトーン&マナーだけは、まろやかに仕立ててありますが、言っている内容はとてもキツく、重いです。
いやぁ、民営化ってすごい。
郵便職員に自爆営業させるだけでは飽き足らず、公共の電波を使って、消費者にもガンガン圧力をかけて来るんだもの。
すこし前の日本郵政の年賀状キャッチコピー、
年賀状は、贈り物だと思う。
の、いかに上品で、文化的だったことか。
まさに、企業広告は、企業の状態を映し出す鏡だなと思った出来事でした。