日本の生産性が低いのは「時間を費やして頑張っていたこと」が、失敗したときの保険になるから。
「アメリカ人ってあんなに雑なのか…」 日米の働き方を比べた動画に「驚き呆れた」の声
仕事スタイルは、アメリカはラフだが、日本は馬鹿丁寧。でも、生産性はアメリカが高く、日本の方が低い。てなことが書かれていました(雑な要約)。
僕はアメリカで働いたことがないから、比較した話はできないけれど、これは何となく分かるなぁと。
たとえば、
- 見えてない部分まで完璧にしようとする
- 結果より、ルールを守ることが大事
- 万に一つも間違いがあってはならない
- 書類を綴じるときは、綺麗にそろえる
- 社内向け資料の作りこみ
- メールの形式的な挨拶がまわりくどい
こんな感じで、ひょっとしたらアメリカでもそうかもしれないけど、パッと思いつくだけでも、生産性を落としていそうな要因はたくさんあります。
中でも僕が深刻だと思うのは、三つ目に挙げた「万に一つも間違いがあってはならない」という思想。あらゆることに当てはまりそうだけど、100%に向けて最後の10%を煮詰めるのに必要な労力って、それまでの0~90%に費やしたのと同じくらいのパワーがかかる行為だと思っています。
でも、ひとつの仕事のなかで本当に100%が必要なパートってごく一部です。元記事でアメリカ人の例で、クライアントと電話するときに、足をテーブルに乗せて対応するようなことが書かれていましたが、あれも日本だと「態度は電話ごしに伝わる」と、精神論で怒られますよね。お客さんから見えるわけなんてないのに。
あと、何かミスが起こったときよくあるのが、チェックのフローを増やせばいいという考え方。これも生産性を劇的に低下させます。これまではチェックが1回だったのを、もう一段回増やして2回チェックしましょう。2回でダメなら3回、4回……みたいな思考停止。
チェックが何重に増えたとしても、一番最後のチェック以外は形式的なものになりがちです。履歴をいちいち残して、誰がスルーしたか見える化するところまで徹底できれば良いけど、そこまでの非効率はさすがにできません。だから、手間が倍増したにもかかわらず、得られる成果はごく僅かです。
多くの人は、たくさん時間を費やしたことを誠意だと考えます。たとえ結果が十分でも、費やした時間が短ければ、「もっとできたのにサボった」というレッテルを貼られます。一方で、費やした時間が長ければ「頑張っていたから仕方ない」と失敗も大目に見てもらえる傾向があります。
日本では、限界ギリギリまで時間をかけて丁寧にやっておけば、成果を出したときは素直に賞賛してもらえるし、失敗しても許してもらえると、良いことづくめです。
逆に短時間で仕事を処理してしまうと、成果を出しても文句を言われるし、失敗したら「それ見たことか」と袋叩きにあいます。
海外から見て非効率に見える日本人の働き方ですが、保身を考えるなら、これほど効率的で楽な働き方はないのかもしれません。ただ、こうした働き方やマインドって、まさにネットでよく言われる「真面目系クズ」そのものだとも思うんですよね。