たとえお世辞でも、職場を去った人を褒めるのはよそう。
新卒解禁日が迫ってきました。
と同時に2015年度の新卒社員の入社も近づいています。
新しい出会いがあれば、一方で、別れもあります。
この時期多いのが、2月末、3月末での退職者。
そして、4月1日付けの異動です。
今日は退職者や異動者が出たあとの組織運営について思ったことを少し書きます。
みなさんは、辞めた人、もしくは異動した人に気を利かせて、何かの折りにみんなの前で、その人を褒めるような話をしてしまうこと、ないでしょうか。
前任を褒める=遠まわしに後任をDisっていることになる
「○○さんは、こんな素晴らしい取り組みをしており…。」何かの拍子に以前いた人を良い例として取り上げることがあります。でもその発言は、言外に、今の担当者にはそれができていないという意味を含んでしまいます。
話をした人にそんなつもりがなくても、わざわざ前任の名前を出してしまうと、前任の仕事ぶりが特別であったことを強調する結果になり、それは間接的に後任の仕事ぶりへの物足りなさの表明となり得ます。
褒めている本人は、去った人を賞賛して、なんだか器のでかい感じを醸し出していますが、後任の当事者は肩身のせまい思いをすることも少なくありません。いまいちピンとこない方は、現社長の前で前社長をほめるのが適切かどうかを想像してみてください。
承認欲求が満たされない状態が続くと、自信を喪失する
職場を去った人の良いイメージは、時間が経つほどに美化されていきます。いなくなってしまった人に、後釜の人材が勝つことはとても難しいということです。
前担当者を褒めてしまったが最後。そのイメージを拭いさることは、ほとんど永遠にできなくなります。売上数字のように客観的な指標が出せる職種ならまだしも、事務職のような定性的な評価をされがちなポジションの人には、この仕打ちはこたえます。
社内で影響力のある人がこれをやってしまうと、周囲の人の見る目も左右してしまうので、最悪の場合、後任の人が前任者と同じようにできない自分に悩み、苦しむ原因にもなりかねません。
大事なのは、後任の人が自分らしく働ける環境をつくること
前任者の影に縛られることなく、その人が個性を活かしてのびのびと働ける環境を整えてあげることが大切です。そのためには、去った人の話題を引きずらないことが大原則なのかもしれません。
どうしても前任者を褒めたいなら、後任者と並列して同時に褒めるか、もしくは、その人の過去の仕事ぶりではなく、転職先や異動先での現在進行形の仕事ぶりを賞賛して、「あいつは次のフィールドでも頑張ってるよ」と、みんなを鼓舞する材料にするなど、話の持っていき方に、ひと工夫した方が良さそうです。
すこーし被害妄想っぽい考えかもしれませんが、すべての人がポジティブ一辺倒ではありませんし、仕事の調子によって気分が沈むことは誰にでもあります。
そんな気持ちが弱っているときに前任者が賞賛されているのを聞くと、胃がキュッと締め付けられる思いをしても、全然、不思議じゃありませんよね。
新しい人材の入社や異動による人材の流動は、組織をリフレッシュする貴重なチャンスです。
せっかくの機会を上手に組織活性につなげていくためにも、新入社員や新しいポジションに就いた人を、いかにスムーズに離陸させてあげるかについては、職場のメンバー一人ひとりが考えて気遣っていかなきゃいけないよな、と思ったお話でした。