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企業側の「内定取り消し」だけが問題視されるのはおかしい。

「銀座でバイト」が原因で「局アナ内定」を取り消された女子大生が日本テレビを訴えた() | 現代ビジネス | 講談社(1/2)

ちょっと旬が過ぎてしまいましたが、このニュースがとても気になっていました。

局アナ内定。
銀座でバイト。

というキーワードのおかげで、ニュースがここまで拡散したのだと思いますが、僕が気になったのは、内定を取り消されて裁判になったという事柄について。

新卒採用に関わる仕事をしていると、内定取り消し、ではなく、その逆である『内定辞退』についての話はしょっちゅう登場します。

というより、事前の商談で「エントリーが××××名で、説明会参加が×××名、最終面接が××名、内定出しが×名、で辞退者が毎年×割くらい出るので…

なーんて会話が、ふつうに出ます。

内定取り消しが裁判沙汰になりニュースになる一方で、内定辞退は日常茶飯事に起こっているし、新卒媒体屋も企業の担当者も内定辞退は当然出るもの、という前提で話を進めているんです。

なぜこんなことが起こるか。

それは内定辞退には、社会的なペナルティが何もないからです。

学生は内定を出してきた企業をキープしておいて、さらに志望度の高い企業の選考を水面下で進めていく。こうした流れが常態化しています。

一方で、企業の内定取り消しには、世間の厳しい目が向けられます。これって、とっても不公平だよなと常々思います。

企業側の予防策としては、内定辞退されないように学生を引き留めるか、辞退を見越して多めに内定を出すしかないのですが、どちらにもお金とリスクがかかります。

内定者を集めて研修を行ったり、イベントを行ったり、あの手この手の手法を駆使して学生の志望度を維持・向上させるために、コンサル会社にお金を払って何をすれば良いのか教えてもらったりしている企業もありますし、実施にあたってマンパワーだってかかります。

多めに内定を出すのも大変です。万が一、全員が入社なんてことになると、想定をはるかに超えた人員を抱えることになってしまいます。何人が辞退するかの見極めは簡単ではありません。

それに内定を多めに出すためには、多めにエントリーを確保する必要もでてきます。多めにエントリーを確保するためには、よりPVを稼げるナビサイト等の運用が求められるわけです。つまり広告費がそのぶんかかります。

内定取り消しによって、学生が就職の機会を奪われるのと同様に、内定辞退によって、企業は貴重な人材確保の機会を逸します。場合によっては、何十万、何百万円の投資が無駄に終わることもありえるのです。

学生の内定が守られることは大事ですが、企業側が受けとった内定承諾にも一定の保護をしてあげないと、滑り止め使いされた中小企業が泣き寝入りするばかりです。

学生には知ったこっちゃないかもしれません。ですが、企業の担当者の人は「今年は優秀な学生がたくさん来てくれた!」と、とても喜んでいたりするんです。それがフタを開けてみれば、単なるすべり止めにされていただけなんて残念すぎます。

また、内定辞退の頻発は「何社受けても受からない」や「早期離職」といった、就活の負の部分を増長させている面もあります。

たとえば、すべり止め君が受かるために、本当にその会社に入りたかった人が1人落っこちてしまっているケースもあるでしょう。本命の企業に落ちた人がすべり止めの企業に入社したところで、果たして、納得して働けるのだろうかという問題もあります。本当に働きたかった企業じゃない場所で働くことになれば、離職が高まるのも自然な流れでしょう。

元記事では、裁判はアナウンサー志望の子の側が有利ではないかとされています。

裁判の結果がどうなるにせよ、学生が一方的に守られる風潮の中では、企業は新卒採用に、より慎重にならざるをえないでしょうね。

『内定』がどんどん聖域化されていくことは、内定を容易に獲得できる一部の学生にとっては便利かもしれませんが、その他大勢の学生にとっては、必ずしもプラスになるとは言えなさそうです。

すこしばかり過激ですが、内定承諾時にナビサイトのIDとパスワードを企業に預ける(事実上の就活終了宣言)くらいしないと、内定辞退が頻発するこの風潮は治まらないのかもしれません。


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ところで、件の裁判ですが、法律云々は抜きにして、銀座のクラブでバイトしていたという職歴によって不採用とすることには、僕は何の問題もないと思うんですけどね。あれっていちおう風俗に分類される職種なわけだし…。

一時期、「面接力を鍛えるのにキャバクラのバイトが良い」「社長と知り合いになれて内定がもらえる」といった無責任な情報が飛び交っていたこともあった気がします。

今回の一件を教訓に、大学生の方は安易に風俗の世界に飛び込まないようにしていただきたいですね。

接客マナーとかコミュニケーション力を鍛えたいなら、ちゃんと対面で接客する飲食店でバイトすれば、それで十分なんで。

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