朝まで生テレビにタブーはない、と言うけれど。
明けましておめでとうございます。
せっかくの正月なので更新するのを止めようと思ったのですが、ちょっと気になってしまったので書きました。
正月恒例の「朝まで生テレビ」についてです。
正規社員、非正規社員といった雇用の問題に議論が及んだとき、人材派遣がやり玉に挙げられるシーンがありました。
その際に、積極的に反論していた竹中平蔵さんは、大手人材派遣会社であるパソナグループの役員をされているのですが、そのことに触れる人は誰もいなかったんですよね…。
画面に表示されるプロフィールにも、派遣会社の役員であることは書かれていませんでした。
別にすべてのプロフィールを網羅しなさい、と言うつもりはありません。
ただ、発言者の立場が議論の内容に関係する場合は、その事実を明らかにしないと、フェアじゃありませんよね。
番組の中で竹中さんは、ちょっと異常なくらいに派遣を擁護されていました。
自身が役員をつとめる業界のことなので、そりゃ擁護するよなぁと思うわけですが、その事実関係を知らない人が見たら、竹中さんの意見は慶応大学教授の立場から述べたフラットな意見ということになってしまいます。
でも実際は、派遣会社の役員としてのポジショントークだった(かもしれない)わけです。
竹中さんの微妙な立ち位置については、以前から似たような批判は度々目にしてきました。
司会の田原さん自ら「タブーはない」と公言する朝生で、その点がスルーされてしまったことを残念に思います。
派遣社員の7割は、
自ら積極的に派遣という働き方を選択している??
あと、派遣擁護の流れの中で、あるアンケート結果を例に挙げて、仕方なく派遣をしている人は少数派で、7割の人は自由な働き方がしたくて派遣を選択している、といった発言がありましたが、果たしてどうなんでしょう。
この結果をもって、派遣肯定にはならないと思います。
論点が意図的に、はぐらかされていた感じがしたんですよね。
僕が思ったのは、このアンケート結果が示すのは、「派遣が良い」のではなくて、「自由な働き方をしたい」人が多いだけなんじゃないかと。
みんなできれば正社員がいいけど、正社員は長時間労働やサービス残業が酷くて育児休暇も取れないので「だったら派遣で働くしかないよね」、ということで消極的に選択されているケースも本当は多いんじゃないでしょうか。
って書いてて思ったけど、こんなの、テレビ見てる人はみんな思ってることですよね…。
でも、朝生の場ではそういう議論にはならないんだよなぁ。
結局それぞれが、自分にとって都合のいいデータを根拠に好き勝手主張するから、本当に議論すべき点にたどり着かないまま放送時間が終わってしまいます。今回もそうでしたね。
若者代表の古市君も「選挙に興味ない」的な発言をした瞬間に、老人たちにフルボッコにされちゃったし…。
古市君の主張は必ずしも間違いではないはずなんですが、ただ、やっぱり老人たちの議論運びはウマいんですよね。相手の言葉をシャットアウトするための、恫喝のしかたも狡猾だし(長谷川さんって、あんなに傲慢な物言いをする人だったかなぁとビックリしました)。
いやぁ、船頭多くして船山に登る、を絵に描いたような討論でした。いつも通り。
朝生を見るたびに、日本の将来が不安になります。