理想の飲食店は、安い店でもウマい店でもない。
「今度、ご飯いきません?」
飲みの誘いである。
ありがたい。
ありがたいのだが、店選びに困る。
さいきん、グルメ雑誌や食べログが役に立たないと思っている。
それはバカ舌レビュワーや自称グルマンたちが内輪で褒め合っているからではなく、ぼくが飲食店に求めるニーズが奇妙なせいだ。
ぼくの求める理想の飲食店スペック
席数がたくさんあり、
飯はそこそこ美味しくて、
当日にふらりと入れて、
3~4時間くらいのんびり座ってられる。
ぼくが求めるのは、こんな店。
安くなくてもいいし、美食である必要もない。
ある意味、中途半端な店とも言える。
なぜ、こんな希望になるのかと言うと、、、
席数がたくさんあり、
⇒じっくり話したいときには、店主と客との距離感が遠い店のほうがいい。席数が多いと、客一人ひとりが占めるウェイトが軽くなるので、ダラダラしていても他のお客にまぎれて目立ちにくい。
飯はそこそこ美味しくて、
⇒大規模チェーン店などではさすがに味気ないし、外食するからには、めちゃくちゃ美味しい必要はないけれど、お金を払うだけの最低限の美味しさは求めたい。
当日にふらりと入れて
⇒仕事終わりとかだと、ガチッとした時間予約が難しい。忙しい相手の場合、あらかじめの約束ができないことも多い。
3~4時間くらいのんびり座ってられる。
⇒2時間制だと話足りなくなってしまうことが多い。かと言って、2軒目に移動するのも大げさすぎる気がする。
外食の目的は、食事ではないことが多い
大人が言うところの「今度、ご飯いきませんか」とは、言葉そのままの意味ではなく、「今度、ゆっくり話しませんか」という意味だと思う。
食事⇒従
会話⇒主
という関係だ。
とはいえ、飯がマズいと話も弾まないので、それなりのものは食べたい。がしかし、3時間、4時間座れる店はそう見つからない。
ぼくがぶち当たっているのは、そういう問題だ。
飲み食いが好きな猛者が相手なら、どっかり腰を据えてメニューを食べつくすか、はしご酒という手がある。
しかし、最近は男子もふくめて小食かつアルコールは嗜む程度という人間が増えすぎた。
ご飯の美味しい有名なお店を予約したとしても、
「うーん、けっこうお腹いっぱいかな」
マジか!!
まだ1時間も経ってないじゃん!
こんなやりとりはザラにある。
「気持ちよく居座れる店」こそが最高の飲食店
さて、ここで「ふらりと入れる店」であることが重要になる。ふらりと入れる=満席にはならない、そこそこヒマな店だからだ。
人気店は大抵2時間制だし、注文が細ってくると「お茶をお持ちしましょうか」などと、店員がプレッシャーをかけてくることも多い。酒も飯も頼まない客は一刻も早く退店いただきたいのだろう。まぁそりゃそうだよね。
そうでなくとも、ウェイティング客が食べ終わっているお客の方を「そろそろ帰らないかなぁ」という目で見てくる。当然だ。
自分が待つ立場だったら、同じことをしてしまうと思う。
一方で、ヒマな店の場合、ある程度お客さんが席にいる状態がサクラ的な役割にもなるからか、だらだら話していてもプレッシャーをかけられることは少ない。というか、ほぼない。
あと、せっかくニーズにマッチする隠れ家店を見つけても、最近は雑誌や食べログにすぐ掲載されてしまうので、たちまち予約でいっぱいの人気店化してしまうのも頭が痛い。
カフェやファーストフード店が、アルコールを提供しはじめた
最近、カフェやファーストフード店(たとえばケンタッキー)がアルコール提供をはじめたというニュースをよく聞く。会話が主で、食事が従、という外食ニーズを満たしてくれるサービスが、少しずつだが増えつつある。
コーヒーショップでのんびりと話し込むときに、ビールも注文できたなら、それはありがたい。食事は軽食で十分だ。アルコールが苦手な人は紅茶やコーヒーを楽しめるのもいい。
この間、ちょっと話したいけれど、みんな宴会続きで飲み疲れしているから、という理由でカフェに入った。1時間くらいのつもりが、3時間くらい話してしまった。
アルコールや美味しい食事がなくても、「場」があれば会話は楽しめる。
体を労わったミニマルな生活を好む人が増えてくると、「おしゃべりできる場」としての飲食店を求めるニーズはこれからもっと増えてくるんじゃないかな。
居酒屋にダラダラ居座るのではなく、1軒目でゆったり食事して、2軒目はカフェへ。あるいはバーへ。
そのときの気分や体調で、カフェとバーを使い分けられると便利だ。
夜遅くまで営業しているカフェが、もっと増えればいいのになぁと思う。