性格診断テストでは、そのコミュ力にサステナビリティがあるかを見られている。
長年の研究の結果、コミュ力って磨けば伸びるスキルのようなもんではなくて、コミュニケーションを好むかどうかの性格であるという結論に達した。性格は変えられないからどうしようもない。
という文章を読んだ。
でも実は、コミュ力は鍛えることができるんだな、これが。
なんらかの障がいを持つ場合を除き、コミュ力はスキルなので上達は可能。営業トークもプレゼンテーションも努力次第でいくらでも上手くなれる。
ただ、根っこの部分で、人と接することが「快」の人と「不快」の人がいることは事実だ。
- 性格診断テストでは、コミュ力の真贋を見抜かれる
- あなたのコミュ力に、持続可能性はあるか?
- ある種のビジネス書が、役立たずな理由もここにある
- 結論:コミュ力は鍛えられるが、コミュニケーションが楽になるとは限らない
性格診断テストでは、コミュ力の真贋を見抜かれる
明るくハキハキした対応が好まれるのは、就活生・転職者の誰もが知るところだ。企業の期待することがわかっているからこそ、面接を受ける人たちは、多かれ少なかれ自分を装うことになる。
結果的に、面接で見ることができるのは、表面上、適切な「振る舞い」ができる人かどうかだけになってしまう。就活の面接が、ある種の茶番と評されるのはこのためだろう。
まぁありていに言って、一瞬の力を振り絞って、人当たりよく接することができるのは、社会人として当然のスキルである。この点については職種を問わない。
ただし、四六時中、面識のない人と接するような環境に適応できるか、といえばそれは性格の適性によるところが大きい。
だからこそ企業は、様々な性格診断テストを導入して、応募者のパーソナルなデータを取ろうとする。
あなたのコミュ力に、持続可能性はあるか?
早い話が、受験者の発揮するコミュ力の持続性・継続性を企業は気にしている。
仮に、面接でフルパワーで明るく振る舞って、ようやく企業の合格ラインに達したAさんと、素の自分の明るさのままで合格ラインに達したBさんでは、その後の伸びしろに天と地のひらきが出る。
Aさんは入社後、常に緊張状態で業務に臨まねばならないが、Bさんはリラックスして業務に臨むことが可能だ。
この事実は企業にとって死活問題。
なぜなら、うつ病に代表されるようなメンタルヘルスの不調は、無理に環境に適応しようとした結果、限度を超えてしまった際に起こることが多いから。うつ病は極端だとしても、早期離職の原因になることは確実だ。
採用プロモーションにコストがかかる新卒採用や成約時に支払うエージェントへの報酬が高額な紹介会社を通じた入社など、早期離職のリスクが大きい採用ほど、企業は慎重にならざるを得ないだろう。
ある種のビジネス書が、役立たずな理由もここにある
明朗性に代表されるような「性格」は、一朝一夕で変化させられるものではない。
たとえば結婚して生活環境が一変したり、海外移住したり、それくらいの大きな環境変化がなければ、元来の性格を変えることなど困難である。少なくとも自己啓発本によるマインドセットなど通用しない。
世の中に、コミュニケーションが苦手な人向けのノウハウ本や整理整頓を促す近藤麻理恵さんの著書など、ある種の「テクニック」を伝授するビジネス本は数多い。
こういった書籍で救われるのは、「もともと性格的にマッチしていたが、単に手法をしらないせいで上手くできていなかった人」だけだ。
あるいは、根暗な人が成功した手法を語る営業本など、マインドセットではなく、明らかに手法からして別のアプローチを教える本でなければ、読者のお悩みを解消するには至らないだろう。
結論:コミュ力は鍛えられるが、コミュニケーションが楽になるとは限らない
残念だが、これは事実だ。コミュニケーションを売りにする仕事に致命的に向かない人、というのは存在する。
「できること」と、「続けられること」は別問題だ。
ひょっとしたら将来的には、コミュニケーション力がなくても通用する「まったく新しいやり方」を発見することでパラダイムシフトが起こり、根暗な人が接客業で活躍できる日がくるかもしれない。
しかし、そうでもなければ根暗な人が極度の明朗性を求められる仕事を継続することは難しい。表面的な「振る舞い」をトレーニングすることは社会人のスキルとして大切だけれど、くれぐれも自分を根本から変えようなどと安易に思わないほうが身のためだ。
ちなみに、コツをつかめば、性格診断テストで嘘をつくことはできる。
ただ、企業もいじわるで性格診断テストを実施しているわけではなく、仕事に適した人を選別するために実施しているものなので、自分のためにも正直に解答することをお勧めしたい。