アメリカ版、オタサーの姫。
手に取ったきっかけは、ドラマの設定が魅力的だったから。
無理やりたとえるなら、名作ドラマ「フレンズ」のギーク版って感じでしょうか。
男子4人組は、カリフォルニア工科大学の研究者。
左からハワード、ラージ、シェルドン、レナード。
4人とも超天才的な頭脳をもっており、特にシェルドンはIQ187という驚異的な能力を持っています。
彼らはいわゆる「オタク」で、休日に部屋に集まってネットゲームをしたり、コミックやフィギュアを収集したりするのが大好き。
そんな彼らのたまり場となっている部屋(シェルドンとレナードがルームシェアしている)の隣に、金髪のセクシーな女の子(ペニー)が引っ越してくる、という展開のコメディドラマです。
恋愛に奥手で高IQなオタクたちとペニーとの会話のやりとりが、いちいちズレているのが面白いのです。
パッケージ写真が、このドラマを象徴している
背景の線は、身長かと思いきやIQと書かれています。
オタクたちが棒立ちしている横で、飛び跳ねるペニー。
飛び跳ねることで、ペニーのIQが他の4人を超越していることを示唆するような見せ方になっています。
このパッケージ写真がぼくはとても好きで、ビッグバンセオリーという作品をよく現していると感じます。
おバカなペニーがオタクたちの会話や思考についていけず惨めな思いをしたかと思えば、逆に世間知らずで恋愛音痴の彼らがペニーにいいようにしてやられる展開もあって。
この上下関係のバランス感覚が、観ていてとても心地良いんです。
IQが高いから幸せとは限らない
オタクたちは、他の優秀な研究者に嫉妬するあまり大失敗をやらかしたり、賢すぎるがゆえに恋愛に不器用になってしまったりします。
一方、ペニーは彼らと対照的な描かれ方をしています。
IQが低く、パートのウェイトレスで、女優になるという無謀な夢を追いかけているおバカな子。でも、彼女は奔放に毎日の生活をエンジョイしています。
部屋に仲間を集めてスポーツ観戦で盛り上がったり、イケメン男性とデートしたり。ときどき愚痴は言いつつも大きな悩みなく仕事とプライベートを満喫しています。
理性より感情を優先するペニーの生き方は、天才たちには愚かに見えることも多いけれど、深く考えずシンプルにいまを楽しめる彼女が羨ましくもあるんですね。
ギークたちの目を通して見ると、ペニーが一段と魅力的に見えてくるから面白い
一般的な海外ドラマの基準で言えば、ペニーって決してそこまで魅力的なキャラクターではないと思うんです。
かなりおバカで、男性関係もちょっとユルくて、お金の管理が致命的にできずに、しばしば家賃が払えなくなっているし…(女優さんのルックスは好きですけどねw)。
でも、オタクたちの視点から見ると彼女はめちゃくちゃ魅力的に映るから面白い。
ペニーのようなセクシーな女性は、一般的に非の打ちどころのないイケメンの男性と付き合っており、休日にネットゲームしているようなオタクを構ってはくれないものです。
でも、そんなセクシーなブロンド美女が、「Hi!」って部屋着姿で遊びにきて、いっしょに中華のデリバリーを食べて映画を観てくれるんですよ。好きにならないわけがありません。
ペニーは、オタクに対する偏見はあるけれど、彼らの人間性を否定することはしません。オタクたちとの異文化交流を面白がってくれます。
異質なものを受け入れる博愛精神が彼女の何よりの魅力であり、IQを凌駕する才能なのかもしれません。
安心して笑える気楽さがいい
現実のオタサーの姫と違って、ペニーはとても素直で性格の良い子として描かれているので、彼らのおかしな会話のやりとりを、安心して笑い転げて見ていられます。
重たいドラマじゃないので、一気に鑑賞するのはもちろん、寝る前に1話ずつ観るのにもピッタリの作品です。
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