キングスマン:ゴールデン・サークル 感想/理想の先輩・後輩関係がここにある
映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント
大好きなキングスマンの続編作品が配信スタート。
「キングスマン:ゴールデン・サークル」は、シリーズ2作目。
写真の2人、コリン・ファ―ス&タロン・エガートンが主演のスパイ映画です。
理想の上下関係は、純粋な尊敬と親愛から生まれる
前作の途中で死亡したと思われていたハリー(コリン・ファース)が実は生きているという設定がたまらんですね。
ハリー登場シーンでは映画のキャッチコピーの通り、まさに「秒でアガれ」ました。
このおじ様カッコよすぎます。
エグジー(タロン・エガートン)が師匠であるハリーを慕う様子が、見ていてとても心地よいです。
理想の先輩・後輩像がここにあります。
作中で、復帰後まだ本調子ではないハリーを、作戦に同行させるよう主張するエグジーが、自分の役割を「スキル」、ハリーの役割を「ブレーン」と言ったのもうなずけます。まさにハリーは精神的支柱でした。
敵に包囲されてあわてるエグジーと落ち着き払って冷静なハリーの対比も鮮やか。
味方の裏切りをあっさりと見抜くハリーの眼力にも、魅了されます。
あいつは裏切り者だ、と力強くハリーに言われると、(その前に怪しいシーンはあったものの)その時点ではまだ裏切者と確定できる証拠はないにも関わらず、ハリーの判断に間違いはない、と信じたくなってしまうから不思議です。
エグジーは、裏切者を撃ち殺したハリーに驚きつつも、その後の無線通信では、仲間殺しのハリーを庇います。しかし通信の裏側では、「なぜ撃った」のかとハリーを批判します。師匠相手にも言いたいことは言うのです。
同じエージェント同士として関係はフラットでありながら、とっさの場面ではハリーの判断を信じるエグジーの姿に師弟愛を感じますね。
理想の上下関係とは、立場の優劣でも力の優劣でもなくて、相手に対する尊敬と親愛から自然発生的に生まれるものなのでしょう。
もうね、童貞告白すらカッコイイんです、このおじ様。
仲間が死んでも止まらない、物語のテンポの良さ
前作ほどではありませんでしたが、今回もバタバタ死人が出ます。
仲間が死んでも長尺を使って湿っぽくしないのが、キングスマンならではの物語のリズムなのだと感じます。
前半のキングスマンの幹部が全滅するシーンもしかり、終盤のマーリン含めて3人で本拠地に乗り込むシーンもしかり。
キングスマンのアクションって、観ていて楽しいんですよね。
ちゃんとしてるのに、ところどころふざけてるといいますか。
その場にある小道具を上手に使いながら、大きな爆発などはそんなになくて地味なんだけど、演出で派手に見せているのが上手いなぁと感じます。
イギリスから見たトランプ大統領は「バカな小悪党??」
本作ではジュリアン・ムーア演じる麻薬王ポピーが、麻薬に遅効性の毒を仕込んで、世界を混乱に陥れます。
ポピーは、人々を解毒したければ麻薬を酒やタバコのように合法化しろとアメリカ大統領に迫ります。
ところが大統領は、ポピーの作戦を逆手にとって「麻薬中毒のクズどもを一掃する好機」と主張。
表面上は交渉を進めるフリをしながら、裏で麻薬使用者たちを檻の中に集めて世間から隔離します。
面白いのは、最後に企みがバレて大統領をクビになることです。
そして新しく大統領になったのは、これまで大統領を補佐していた金髪の妙齢の女性…。
トランプよりもヒラリーが大統領のほうがマシ、っていう英国流のジョークなんでしょうかね。
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こうした周辺の設定も、邪魔にならない程度に遊んでいるから、退屈とは無縁の映画です。
期待以上の面白さと爽快さ。
2時間21分の超大作ですが、体感的には1時間半くらいに感じました。
まだ見てない人は1作目とまとめて、この機会にぜひどうぞ!