良い職場の去り方。
「良い職場の去り方」
というキーワードでの訪問がありました。
転職をお考えの方なのでしょう。
いずれにしても、こういったことを几帳面に検索する方というのは、おそらくどんな形であれ、良い去り方をするんだろうなと思いました。
僕はこれまで職場を去る方をたくさん見てきましたし、自分自身が当事者になったことも、もちろんあります。そんな経験を踏まえて思うのは「良い去り方=迷惑をかけずに去る」ではないのだろうな、ということです。
迷惑はどうしたってかかります。せっかく採用した人が辞めるんだもの。
そりゃあ何を言ったって、迷惑なものは迷惑ですよ。
だから、きちんとお世話になった人たちに挨拶するとか、仕事を丁寧に引き継ぐとか、基本的なところは大人としてクリアしておく。ここは最低ラインです。
その上で、一つ心構えがあるとすれば、それは、どんなに気に食わないことがあったとしても、絶対に「会社や仕事を否定しない」ことではないでしょうか。
最後だから、と面談で好き放題言って辞める方もいらっしゃるようですが、それは逆です。むしろ残りたい人こそ意見を発するべきで、辞めるつもりなら、余計なことは言わぬが花、だと思っています。
嫌で辞めたのが丸出しの人を送り出すのは、見送る側として辛いものがありますし、これから先も会社に残って働き続けていく自分たちの境遇を思うと、既存社員としては、笑顔で送り出すのが心情的に難しくなります。
自分が食べているメニューに対して、面と向かって「それマズイよね」と言われるようなものです。自分ではマズイと思っていなかったとしても、とても残念な気分になってしまいますから。
社員の退職は、残った社員に精神的なダメージを与えます。辞める方が気遣うのもそうですが、辞められる会社側としても、いかに既存社員への影響を最小限にとどめながらキレイに辞めていただくか、というのは頭を悩ませる大問題です。
3月末の退職ラッシュに続いて、4月末にも新卒の退職者が一定数出るのは、毎年恒例。一人の退職によって雪崩をうったように、つられて数名が退職したという話も聞いたことがあります。
雇用の流動化がゆっくりと進みつつある今、「良い職場の去り方」は、会社を辞めようと思っている人だけでなく、組織で働く全員が考えていかなければいけない、共通課題なのかもしれませんね。