恋愛工学生は、いかにして生まれるか。|「ぼくは愛を証明しようと思う」感想
藤沢先生を知ったきっかけは、この記事でした。
恋愛工学の開祖で年収2億の藤沢数希さん、うしじまいい肉さんと一人3万円の寿司屋でデートして、メルマガでボロクソに言われる。 - 俺の遺言を聴いてほしい
この時点ではまだ「ぼくは愛を証明しようと思う」を読んでいなかったのだけど、記事を読んでなんとなく恋愛工学について知った気になって書いたのがこちら。
勢いで書いたけど、できることなら消したいくらい恥ずかしい内容だ。
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実際に読む前の感想
恋愛工学はモテるための理論ではない。
正確には、ヤルための理論でもない。
恋愛工学とは、ジャイアントキリングするための、いち手法なだけである。
率直に言えば、分不相応な女性とエッチするためのいち手法にすぎないのだ。
女性とお付き合いしてハッピーになりたい人は、間違っても読んではいけない。
なぜそう思うか。
というより、恋愛テクニックなんぞ、これしかないと思うのだが、ふつーに飯に誘って反応なければ終了ー。
反応あれば、とりあえず「なしではない」。
このフィルターが最強だろう。
「驚くほどピザのうまい話題のイタリアンが○○にあるんだけど、一緒にいかない?」
なーんて、クソみたいな誘い文句(広告関係の何かの本で読んだ、成功率の高い誘い文句らしい)を使わなくても、極々ふつーに「今度、飯でもいこーや」と、これ一発で十分でしょ。
生理的に嫌な相手だったら何を言おうが嫌だし、アリな相手なら多少誘い文句がトンチンカンでも、どうにかなるはずである。
というか、僕が誘われる立場ならそうだし。
で、飯にいって話が弾めばよし。
弾まなければ、もうね、そんな女性ダメですよ。
これはその女性がダメっていう意味ではなく、シンプルに、その人はあなたに合わない。その人にとっても、あなたは合わない。つまりお互いに付き合う意味がないのである。
ウケる話をして女性の気をひく。アホかと。
おまえはそれを今後遊びにいくたびに続けるのかと。無理だろと。
というか、そんな努力めんどいわ。おまえは芸人じゃないだろ、といいたい。
よく理想の相手の条件で「笑いのツボが合う人」という条件があがるのはそういうことで、お互い頑張らなくてもふつーに話してれば笑いあえるから、ほな付き合おうか、ってな話になるわけですよ。
たとえば、食事に行ってステーキがでてきた。
まずいなー、もう一皿。
うまく感じるまで食うぞー。努力、努力。
とかやってたら異常者でしょう。
うまいものは、ひと口目からうまいのであって、噛み続けることでようやくウマくなるものなどありはせんのです。
恋愛も同じですよ。夫婦は知らんけど。
女性と会話が盛り上がるテクニック?そんなもんいらん。
テレビの話でも、買い物の話でも何でもいいから思ったことを話せ。女性は共感能力が高いって言うでしょ。
おまえが合わせにいってどうする。君はこう思う。俺はこう思う。この差があるから話が広がるわけですよ。
女性の話には共感してあげることが大切?何言ってんだと。
男が無理に共感してる白々しい反応なんか、速攻バレとるわ。そんなくだらん反応に神経を集中させるよりも、とにかく色々話し続けて、心からお互いが共感できる話題やモノやコトを見つけろ。
見つからなければ、それは相性が悪いってことだ。おまえが悪いんじゃない。相性が悪いんだ。顔が好きってことと、一緒にいて楽しいってことはイコールではない。早くこの事実に気づけ。目を覚ませ。
世の中には「好きなアーティストが一緒だった」とかいう、マジか!と思うレベルの微妙な共通項がきっかけで付き合って、結婚するカップルもいる。
話がバシバシかみ合う必要など決してなく、ひとつでもドンピシャの共通項があれば、じゅうぶんハッピーになり得るのである。
草食系男子日本代表としては、エッチだけをモチベーションに、会話のかみ合わない女性にかじりつき、恋愛工学を駆使して落としにいくなんて行為はマゾ以外の何物でもないと思いますがね。肉食系男子日本代表の藤沢先生は違うのかもしれませんが。
Amazonから藤沢先生の本が届くまでの時間にちょっと考えれば、誰でも気が付くようなことに、なんで日本の恋愛工学生は気が付かないのだろうか、不思議でしょうがない。
ま、こんな風にジブンのアタマで考えようとしない恋愛工学生は、いつまでたっても恋愛市場からは評価されず、女性を帝国ホテルのバーに誘ってはセクハラ発言をかまし、自宅までストーキングし続けるのでしょう。
こんなトンデモな内容の本が売れているわけだから、そりゃあ、日本の未婚率が上昇するのも当然ですね。そんじゃーね。
実際に読んだあとの感想
読んで大変驚いたのだが(結局読んだw)、僕がいま上でワーッと書き連ねたような理屈は、すこし読んだ段階であっさり論破されちゃうんですよね。
作中に登場する理論は、スピリチュアルすぎるだろ!
と感じるものも一部あるけれど、全体としては僕の書いた理論がスッカスカに思えるくらい幅広く、深い。
恋愛版『夢をかなえるゾウ』というのが、一番かんたんな本の説明じゃないかと思う。
うしじまいい肉さん相手に玉砕した藤沢先生の見るも無残な姿とは、似ても似つかぬようなスマートな恋愛模様がリズミカルな筆致で描かれており、シンプルに面白い。
最初の5分、10分は「ほー、けっこう文章うまいなぁ」なぁんて、半信半疑でななめ読みしていたのですが、フォトショップのくだりで相手が恋に落ちるあたりからは、もう、サルのようにシコシコむさぼり読みましたね。
この時点でもうね。
小説の主人公と同じ心境ですよ。
永沢さんはやっぱりすごい。たった10分やそこらの会話で、女のハートを射抜いてしまうなんて。
永沢さんの恋愛工学を是が非でも学びたくて、そこからはもう一気読みでした。
あ、ちなみに永沢さんというのは、作中に出てくる、非モテな主人公(わたなべ君)に恋愛工学を手ほどきしてくれる恋愛のカリスマみたいな人物です。
すごいんですよ永沢さんは。出会って15分でキスして電話番号ゲットしちゃうんですよ。
いやしかし、この小説、人の心の移り変わりが、非常にうまく描かれてるんですよね。ご立派な文学賞をとられるような作品の心理描写は、どこか現実離れしているように感じることも多いのですが、これはナマな感触がする心理描写。
描写というより心理分析、しかも当人たちが気づいていない心の動きが可視化されている点が特異であり、それこそが恋愛工学であるわけです。
適度にロジックがきいていながら、情緒的な展開もうまく織り交ぜられていて、そのランダム性に、僕たち恋愛工学生はリアルを感じてしまうのでしょう。
というか読んでたら作中に出てきました。
「恋愛工学は『中の上』以上の女に対してのものだ」ってセリフが。
やっぱそうなんだなぁ。僕みたいな何の工夫もないやり方が通用してたのは、ふつうの人としかお付き合いしたことがないからなのでしょう。さすが永沢さん。
女性が友達同士で旅行にいくのはなぜか、といったこれまで気にも留めていなかったようなことにも、ちゃーんと理屈があるのだと解説してくれるなど、池上彰ばりの分かりやすさで、女性の行動を開けっ広げに語ってくれるので、僕たち非モテ工学生は辛抱たまらず、かぶりつきで読んでしまうわけなのですよ。
カリスマ講師の授業と似たようなところがあって、この本がすごいのは実際に試してみたくなっちゃうところだと思う。読めば読むほどに根拠のない自信がわいてきて、なんかいけそうな気がする。その気にさせてくれるのだ。
『ぼくは愛を証明しようと思う』
ちまたではキモいとか言われてたりしますが、終盤の展開は美しく、ともすれば序盤から中盤にかけて展開してきた恋愛工学そのものを否定するかのような、ある意味でピュアなラブストーリーでもあります。
おそらく、終盤にみせる恋愛工学の闇といいますか、弱みのような側面が垣間見られるのが、物語にかえって深みを与え、恋愛工学そのものの信憑性を強める結果にもなっているのだろうと思います。
完全にネタにするつもりで読んだわけですが、思いもよらぬ拾い物をしてしまいました。これを実践したからモテるかどうかはさておき、読み物としてはとっても楽しい一冊。変なイメージが先行してしまい、損してるなと思うほどです。
お暇な方は、ぜひめくるめく恋愛工学の世界に、一歩足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
藤沢先生は、リアルで恋愛工学を活かせていない…
しかし先生のバイブルを熟読した身としてひとつ解せないのは、うしじまいい肉さんとのデートで先生が実践しているテクニックって、どちらかと言えば非モテ君のやってしまう負けパターンだったような気がするんだけどなぁ。
うしじまさんみたいなルックスのいい人には、あえて外見を低く言って内面をほめるのが効くって言ってたはずなのに、実際のやりとりではうしじまさんの所属しているコミュニティだったり、価値観を否定するような発言をしちゃってるんですよね。
あれじゃ完全に逆効果ですよ。
しかも、相手がお茶に行くっていってるのに、それを遮って「バーに行こう」って、思い切りガッツイちゃってるじゃないですか。
しかも、これ見よがしの金持ってるアピール。
作中でダメな例として出てきた、金持ちなオッサン連中まんまの悪手連発ですよ。ありえない。引き際も完全に逸してるし。
こんなの恋愛工学1年生の僕でもわかります。
まぁ、うしじまさんて僕からすればAとかSランクの美女なわけだけれど、藤沢先生クラスになると、CとかBランク判定しちゃってて、恋愛工学効かねー!
ってことなんでしょうか。さすが藤沢先生です。
さて、長くなりましたが、
最後に永沢さんのありがたい言葉を引用して終わりたいと思います。
「本は自分で買うんだよ。自分で金を出して買うからいろいろ頭に入るんだ」