マイナビやリクナビなど、新卒ナビサイトを執筆しているのは、ライターだとは限らない。採用担当者も書いている。
ナビサイトを書いているのは社員ではない 「プロのコピーライター」の作品と心得よ
この記事については求人広告のライターとして、補足しておきたいことがあります。
求人広告はライターの作品などでは断じてありません。
あえて言いましょう。
ナビサイトの文章は、企業の採用担当者が総監督になって制作した超大作である。
すなわち、ナビサイトの文章は採用担当者の作品であると。
なぜか。
それはですね、、、
修正がすげー多いから。
と冗談はさておき(笑)、ライターの一存で文章が書かれるようなケースはありません。
文章作成には、採用担当者がかなり関与していることが多いです。
ぼくからすれば、ナビサイトの文章は、どちらかと言えば企業の採用担当者が主役になって書かれているものという認識です。
新卒のナビサイトは、企業側がアカウントを譲り受けて、採用担当者が自ら更新しているケースも多い。
ですので、ライターとして最低限の文章の交通整理はさせていただきますが、主張されている内容については、企業の言い分がほぼ100%だとご理解いただいて差支えありません。
BLOGOSにも書かれていますよね。
しかしその表現は、前述のように「私、こんな良いこと言ってましたっけ?」と戸惑うくらい巧みに仕上げられたものであることを忘れてはなりません。
会社の採用担当者が喜ぶ表現が実態に近いとは限らず、むしろ美化されている可能性が高い。そんな会話を交わして、果たして意味があるでしょうか?
広告はライターの美辞麗句ではなく、採用担当者が喜ぶ文章になっているのです。つまり立派な企業の本音が書かれています。
ライターが勝手に美化して書いているだけならば、たしかに情報としての価値は薄いでしょう。でも、企業の採用担当者が自社の魅力を売り込むために一生懸命考えたPR文であるならば、そこには一読の価値があります。
会社として自慢したいこと、かろうじてPRできるネタが、ナビサイト上には、むき出しの状態で陳列されています。鵜呑みにするのが良くないのはその通りですが、逆にこう考えてください。
ナビサイトに書かれていることが、その企業の精一杯です。
※一部の大手企業を除く
まあ分からんでもないです。
新卒採用は特に、はじめにエントリーありきですから。
ハッタリでも何でも、とにかくエントリーしてもらわないことには、始まらないと考える企業は少なくありません。
ナビサイトや採用に使われるパンフレットやホームページに、眩いばかりの輝かしい言葉が並ぶのはそのためです。
さらに言うと、
これは企業が独自に作成している採用サイトや、紙媒体の会社案内もたいがい同じです。弊社も毎年会社案内を作成しますが、その過程で必ず編集プロダクションのライターさんが中堅社員や新入社員に取材をしてくれます。
これも会社によりけりです。
この方の会社は、ちゃんとお金をかけて制作されているので、こういう制作体制になっているかもしれませんが、実際には、採用ホームページの文章も企業担当者が書いているケースがあります。ホームページを作る会社には、ライターがいないことも多いですから。
すべての企業が高いお金を払って、体制の整った腕のいいWEB会社に発注できるとは限りません。外側の体裁だけ取り繕って、中身の文章は以前のものを使いまわししていることもあります。
パンフレットのような紙の制作物も同様です。文章は社内で考えるからその分安くしてもらおうと考える会社もあります。
そんなわけですから、安心してください。
ナビサイトについて就活生に話すと、意外にも驚かれることがあります。それは「掲載されている文章のほとんどは、社内の人間が書いていない」という事実です。社会人にとっては当たり前過ぎることですが、就活生の純情さを毎年実感する一幕でもあります。
書いてますよ(笑)
社内の方が一生懸命、書いています。少なくとも考えてはいます。
ライターはあくまで言語化するお手伝いをしているだけ。
世に出して恥ずかしくない形(あるいは読みやすい形)に文章を整えるお手伝いをしますが、主張内容については、企業の意見がしっかりと反映されています。
ただ、これまでにお伝えしたように、オーバーに書かれている可能性は大いにあります。しかし、相対的な魅力を比較するのであれば、それでもなんら差支えはありません。
ナビサイトの表現は「お見合い写真と同じ」だと考えてください。
各企業が奇跡の一枚を提示し合うのがナビサイトです。
そんなナビサイトの文章上ですら魅力的になっていない時点で、その企業は相当微妙である可能性が高いです。どんな小さな会社にも魅力や強みの一つ二つはあるものです。ナビサイト上の文章では、それが少しばかりお化粧されているだけなのです。
ですからどうか安心して読んでください。
そして魅力を感じた順番に、どしどしエントリーしてください。
説明会や面接にいって、広告で読んだ内容に比べてギャップを感じなかった企業、あるいは書かれていた文章よりも素敵だと感じた企業が、あなたにとっての第一志望になるはずです。
あと、最後にもう少しだけ。
「企業研究への熱意」があるなら疑って検証するべき
とありますが、ただでさえ時間のない就活なのに、こんなことに時間を浪費するのはオススメできません。
「企業の採用サイトはよく読み込んで、『先輩社員の声』の中に共感できる部分を探しましょう。
面接の時に『営業部のAさんのお話に書いてあった”○○○○”という話についても、強い共感を覚えました』と言えば、企業研究への熱意が伝わります」
就職支援の方のアドバイスが面接の場で常に最適解となる保証はありませんが、斜に構えて企業を疑いながら就活するよりは、よほどマシだと思います。
企業は、素直で賢い学生が好きですから。