「新入社員はコストじゃない」は、大企業の感覚であって、中小企業には当てはまらない。
「新人はコスト」ではない──即戦力じゃない新人がいるチームほど強くなれる | サイボウズ式
サイボウズのコラムは、建設的な意見が多く参考になるのでよく読んでいる。
でも一方で、一般の感覚からすれば、およそ非現実的な世界について書かれているようにも思えるときがある。
コラムに出てくるような新人君たちは、そりゃコストじゃないさ。
優秀な人たちの周りに入ってくる新人だもの。乾いたスポンジのように教えたことを吸収するような新人ばかりだと思う。地頭のよい人しかいないのだろう。
でも現実はそうはいかない。
世の中の大半の若者はそんなに優秀じゃない。
コストじゃない新人。
大手企業、そのグループ、上場企業、知名度の高いベンチャー企業、一部の優良中小企業など、ピラミッドの上位に位置するひと握りの企業には、当たり前にいる人材なのかもしれない。
でも、名もない中小企業からすれば異国の話にも聞こえる。
昔の日本人のように、みんなが一定以上の勤労意欲と誠実さを兼ね備えた世界観なんてとうに崩壊している。
いまどきは、上位の人材は知的水準が高く、粘り強さもある。知的好奇心が旺盛で、壁を乗り越えて成長していくポテンシャルをもっている。すべてが高水準だ。
しかし、中位から下位の人材は、向上心がなく壁にぶつかるとすぐに逃げ出してしまう。真面目にやるということができない。つい手を抜いてしまう。あるいは、熱意はあるが致命的に能力が低い。
「仕事のメモをとりなさい」という定番の指導一つとっても、
- 聞いた話は忘れないようにメモする。
- メモをとったことを覚えておく。
- とったメモはちゃんと読み返す。
- メモをとって終わりではなく実行する。
- メモはなくしてはいけない。
- メモをなくして分からないなら、もう一度先輩に聞く。
- 先輩にもう一度聞くときは、すいませんとまず謝る。
- 謝れば何回忘れても許されるわけではない。
- メモの内容は覚える努力をする。
- 努力しただけではだめで、ちゃんと覚えなければいけない。
と、このくらいのステップを踏む覚悟をしておく必要がある。
できる新人ならば「メモとりなよー」の一言で済む話だ。それ以前に、そんなことすら言わずとも勝手にメモをとるかもしれない。
同じように新卒採用してたって、入ってくる人間にこれだけの差がある。企業が目の色変えて新卒採用する理由がよくわかるよね。
新人の時点で、すでに人材の個人差がえらいことになっている。