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とんこつラーメンの一口目に対する感想は、およそ二つのパターンに分類される。(一蘭の想い出)

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ラーメン「一蘭」の台湾店、初OPEN前から謝罪騒動 サービスの値段が倍の理由とは (BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

 

天然とんこつラーメンでお馴染みの一蘭が、台湾に出店する。

その価格設定が、日本よりも高くてぼったくりだと物議をかもしている。

ファストパス的なサービスが、何様だディズニー様かよ、と槍玉にあげられているらしい。

 

そんなことより良い機会なので、僕が初めて一蘭にいったときの話でもしようと思う。

 

味集中カウンターって言うんだ。

一蘭という店のことを僕は知らなかった。

いつものように居酒屋を3軒はしごして、夜のお店にいく前に腹ごしらえをすることになったとき、友達につれられて店に入った。それが出会い。

いまから9年ほど前。リーマンショックが起こる前のことだった。

 

異様な光景だった。

ひとむかしまえの駅の公衆電話ボックスのように、席と席の間に仕切りがあった。男女が入り乱れ、各々がカウンターに上半身を突っ込んで、ラーメンをすすっていた。

 

味集中カウンターって言うんだ、と友人は得意げに言った。多少酔っぱらっていた僕は、みんなが猫背になっていると的外れなことを思った。

 

大学では似たような一人席を、ぼっち席と呼ぶらしい。

券売機でチケットを買って、席が空くのを待つ。

食べ終わった順に、席が一人分ずつ空いていく。僕は友人とは離れて着座することになった。

 

カウンターが横一列に並んでおり、それぞれの席の向かいには、丼ぶりを出し入れできる簾がついている。店員さんがいるであろう簾の向こうからは、オーダーに対応するかすかな声とせわしない気配が伝わってくる。

 

僕は事前に友人からレクチャーを受けたとおりに、麺の堅さや味の濃さなどが選べるシートに素早く記入して簾の向こうに提出した。

 

席に着いてすぐ、僕は味集中カウンターがとても素晴らしい発想であると思った。

少しまえに体を傾けると、きれいに顔が隠れる仕組みになっている。一人で外食するのが苦手な人には嬉しかろう。

これは味集中カウンターの副産物かもしれないが、席の間隔が広いのも良かった。

 

大学では似たような一人席を、ぼっち席と呼ぶらしい。それが一蘭では味集中カウンターとして、とてもポジティブにブランディングされている。

僕はラーメンを食べる前から、今度は一人でも来てみたいと思った。

 

とんこつラーメンの一口目に対する感想は、およそ二つのパターンに分類される。

目の前の簾が持ち上がり、店員さんの掛け声とともに、ラーメンが差し出された。

これといって特徴のない見た目をしていた。黒いどんぶりが珍しいと思った。簾からラーメンが出てくる姿が、なぜだか刑務所のようだとも思った。

 

これまでの経験によると、とんこつラーメンの一口目に対する感想は、およそ二つのパターンに分類される。

思ったよりあっさりだったか、思ったよりこってりだったか、である。

 

一蘭のとんこつはそのどちらでもなかった。ただただ美味かった。

熱くも温くもないベストの湯加減があるように、とんこつの濃度にもそういう分水嶺のようなものがあるのだと知った。

 

僕は無心で一息に完食した。大食い選手権の1杯目と遜色ないスピードだったと思う。予選だったらテレビに映れるくらいの良い食べっぷりだった。

そのつもりではなかったが、急きょ替え玉も追加オーダーした。

 

2杯目は、じっくりていねいに味わって食べた。

というのは強がりで、直前に居酒屋を3軒はしごしていたことをすっかり失念していたのだった。あまりに美味しかったので、つい頼んでしまった。

 

1杯目の美しい思い出を汚しつつ、僕は2杯目をどうにか腹奥に流し込み、席をたった。

 

一人飯の気恥ずかしさは、食後の幸福感によって乗り越えることができる。

友人はひと足先に店を出て煙草を吸っていた。

食べ終えて店を出るとき、入り口付近で並んでいる人たちとすれ違った。その日の僕は気分が大きくなっており、堂々と一人で店を出ていくことができた。

 

味集中カウンターというのは、きっかけに過ぎないのだろう。一人飯の気恥ずかしさは、食後の幸福感によって乗り越えることができる。

断じて酒の勢いなどではない。

 

 

メタボ的な理由から、最近はとんこつラーメンを食べる機会が激減している。

ひさびさに一蘭のラーメン、食べたいなぁ…(´・ω・`)

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