相棒 season17 2話「ボディ~二重の罠」 感想:甲斐峯秋「勝手なもんだね…人間なんて」この一言に相棒脚本の底力を見た。
(画像は公式ページより)
相棒 season17 2話「ボディ~二重の罠」みました。
1話の感想の振り返りからいきます。
次回は、冨貴江に罪を被せるような展開が前半で繰り広げられ、最終的に鋼太郎と後妻の祥の計画殺人が杉下さんにより解き明かされ、杉下さんのクビも撤回される、という展開になるのではないかなぁと思われます。
いやー。
かなり良い線まではいってました。
見ていて気持ちよかったです。
ただ、手前で芯を外されたのは、悔しいですね。
鋼太郎と後妻の祥が不倫していたまでは当たりなんですが、事件は祥が衝動的に起こしたもので、それを鋼太郎が庇っていたとは。
しかも、その裏には、遺産相続をめぐる冨貴江の計算高さが働いていたなんて…。
アライグマがあんな形で使われているとは、途中までは思いもしませんでした。
結局、掌の上で踊らされましたね。
おおかたわかった気にさせておいて、実際の事件はもっと複雑怪奇だったわけです。
遺産欲しさに殺人を犯してしまう祥。
地位や遺産に目がくらんだ冨貴江。
若い女に騙されて犯罪を幇助してしまう鋼太郎。
そして、そもそもの原因を作ったとも言える、金の力で若い嫁さんをもらった鬼束鐵太郎の自業自得。
今回の事件は人間の感情というノンロジカルなものを、遺体隠しやアリバイ工作のようなロジカルなものと上手く融合させて、1本の事件に仕立てていたことが新鮮でした。
season17にして、これだけ挑戦的なシナリオを繰り出してくれるのは、相棒ファンとして嬉しい限り。
そして、エピローグでの、成宮寛貴の復帰を匂わせるような甲斐峯秋(石坂浩二)のセリフも印象的でした。
「勝手なもんだね…人間なんて」
息子の甲斐享を案じる自身を自嘲しているようでもあるし、今回の鬼束家をめぐる醜い一族の争いを風刺したような一言でもあります。
この一言がうまくダブルミーニングになっており、余韻ある幕引きとなっています。
素晴らしい初回スペシャル1話・2話でした。