「籠庭のクックロビン」感想|半日で遊べる秀作ホラーノベル
Nintendo Switch|ダウンロード購入|籠庭のクックロビン
籠庭のクックロビンというノベルゲームをプレイしました。
もとはスマホゲームとしてリリースされていたのがニンテンドースイッチでダウンロード配信されているようです。
半日くらいで遊べるボリュームのノベルゲームです。
あらすじ/怪しげな洋館が舞台
とある貴族の屋敷に奉公に出された主人公のロビン(メイド)は、屋敷のベッドで目覚めます。
奉公先の屋敷に着くなり、緊張と疲労で気を失ってしまったとのことでした。
物語はこんな導入。
屋敷内で最初に出会う人物が、同じ同僚メイドのモスカです。
斜視という設定なのですが、キャラデザインが極端なせいもあって、いきなりギョッとさせられました。
開始早々いきなりこれです。
屋敷の特異性を意識せざるを得ません。
この後も、片腕の服職人や
胴体が1つにつながった双子など、
社会的にはいわゆる障がい者に分類されるような人々のオンパレードで、見た目にもかなりインパクトのある人物が多く登場します。
極めつけは館の主人。
なんと包帯男です。
怪しすぎる。
読みながら、なんだこの屋敷は…と不気味さを感じつつも、
ロビンはメイドとして屋敷での生活に順応していくわけですが…。
みんな表面的にはロビンに親切だったり気を遣っていたりするそぶりを見せます。
でも、、、何かを隠しごとしているようなんですね。
さらにロビンは、深夜の館に徘徊する怪しげな異形の影を見てしまいます。
屋敷の人々が意味深げに口にする「こまどり」という言葉もミステリアスです。
さて、
ここまでで興味を持たれた方は、もうダウンロードして遊んじゃったほうが良いです。
値段も定価1200円で安いですし。
体験版もあります。
こっちは紹介動画。
ということで、
ここから下はネタバレの感想になります。
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謎の提示と種明かしの流れが鮮やか(ネタバレ感想)
冒頭で散々思わせぶりな設定や「こまどり」というキーワードが提示され、最後にはものの見事に伏線が回収されます。
半日程度で読み切れる内容なので、読んでいるこちらも細かい点まで記憶しているから、なおさら伏線回収は気持ちが良かったですね。
屋敷で働く人物がロビンに対して発していた言葉や態度について、最後にはすべて合点がいきます。
まさかロビンが仮病でお腹が痛いと言ったときに医師のポワソンが慌てた様子だったのは、ロビンに流産の過去があったからだったとは。
スカラが小さな服を夜な夜な作っていたこともそうです。
コマドリが死んだと言うとモスカが取り乱したこともそうです。
他にもたくさんありました。
個人的に見事だと感じたのは、屋敷のみんなはロビンについての秘密を共有していたわけですが、それぞれのキャラクターの抱える障害と個々の性格によって、同じ秘密を抱えていても表出する態度や言葉がまったく異なったことでしょうか。
その言動や態度の違いがキャラクターの個性だったし、すべてを理解したあとに思い起こすと、秘密の隠し方(あるいは隠せないこと)までも包含して、キャラクターの個性になっていたことがよくわかります。
そしてラストの結末。
途中までは猟奇的な展開を想像していただけに、館の人々のロビンへの歪んだ愛情が答えだったとは意外でした。
エンディングは全部で8種類ありましたが、なかでも足を切断されるエンドは刺激が強かったですね。
ただ、それも上手いミスリードになっていたように感じます。
僕はスカラが片腕であることと関連付けて読んでしまい、推理を混乱させられてしまいました。
これがなければ、もうちょっと早く真相に近いところまで読み解けた気がするのになぁ。悔しい。
ニンテンドーeショップでたまたま見つけて遊んだら、予期せぬ秀作に出会えました。
週末にサクッと楽しめる、このくらいのボリュームの作品もいいですね。