「送り犬」感想|スマホアプリにするのはもったいなかった題材
送り犬というノベルゲームを遊んでみました。
もとはスマホアプリだったのが、ニンテンドースイッチに移植されたようです。
「送り犬」のあらすじ
送り犬、というのは兵庫の田舎に伝わる話(という設定に作中ではなっています)
実際には、日本全国に伝わるものらしいです。
創作かと思いきやWikiもありました。
夜道で後ろからついてくる足音があったらふり返ってはいけない。
ふり返らなければ、家に帰るまでの途中、自分を狼や魔物などから守ってくれる。
もしふり返ったら食い殺されてしまう。
あと歩いている途中で転んでもいけない。転んでも食い殺されてしまう。
転んだときはこんなふうに言うとよい。
「どっこいしょ、一休みでございます」。
こんな伝承の話が冒頭にあり、主人公は財部 美穂(たからべ みほ)という女子大生。
この美穂ちゃんが、様々な怪異に巻き込まれていく、という展開。
ネタバレ感想
ということで、さっそくネタバレ感想にいきます。
気になった方は安いので買っちゃってください。
ニンテンドーeショップで1000円以下で買えます。
・
・
・
1プレイはMAX30分程度
思ったより話が短くて驚きました。
とんでもない急展開だらけ。サクッと遊びたい方向けです。
じっくり読みたい気分でプレイすると肩透かしを食らうこと確実でしょうね。
バイト先の店長夫妻の話
バイト先の店長夫妻が人殺しという展開はインパクト重視にもほどがある。
けど、最初に進んだのがこのルートだったので、この時点では、まだ期待感は大きかったです。
拾った犬「シロ」が、事件を引き寄せているのではないか?という奇妙な展開にも心惹かれました。
ところが、シロの設定がこの後のシナリオで活かされることはありませんでした。残念。
ポメラニアンのシャルルの話
いきなり犬目線の話に切り替わるのは驚いた。しかしそれだけ。
話の行き先が見えなさ過ぎて読むのがちょっぴり辛かった。
しかもオチもたいしたことなかった。
仙田さんの話
仙田さんが猟奇殺人鬼というシナリオは気持ち悪かったけど、あまり怖くなかったです。途中の会話の展開でわかっちゃうんですよね。
ここに至るまでにいくつかエンディングを見て、だいたい話の展開の傾向が分かってしまったのも影響あると思います。
主人公の美穂ちゃんがメンヘラ化してテキストが鬱化しており、そっちに気を取られた感もあります。
警備員さんの話
これもオチが弱い。
どれもこれも手あかがつきまくったような展開にも関わらず、すべて中途半端に終わる。
黒電話の話は面白そうなんだけど、やっぱりオチがうやむや。
山崎剛史の話(シーガールの話)
これはニンテンドースイッチで追加された話らしい。
山崎くんのシーガールの話はちょっぴりときめいた。成長した人魚がえらく可愛い(あえてキャプチャは載せませんw)
最後「どもり治ったな」の一言とともに暗転して終わり、という良い話っぽい、余韻あるふうの終わり方だけど明らかに消化不良です。
あのあと山崎くんはどうなったんでしょう。
シーガールは、食った人間の人格をコピーするらしき設定もありましたが、活かしきれていませんでした。
実話怪談を聞いているかのような、手ごたえのない話のオチなんだなぁ。この話に限らずだが。
もちろん想像はできますよ。だからシナリオとしてギリギリ成立してはいます。
まとめ
シナリオが全体的に短いので、物語を楽しむのではなく、展開を楽しむゲームという印象。
もとがスマホアプリなので、あまり重厚長大なシナリオを求めるのは酷なのかもしれませんが…。
据え置き機で遊ぶには、もうすこし歯ごたえが欲しかったなぁ。
斜め上をいく、とんでもな展開を繰り広げるシナリオ展開は、ノベルゲームの名作「かまいたちの夜」を彷彿とさせます。
でも、そのどれもが急展開かつ小粒。
送り犬の秘密が明かされるメインシナリオですらも小粒。
さきほども書きましたが、シロの設定の件、あとアパートに投函されている手紙の件も。
思わせぶりな展開で期待を煽られるワクワク感はあるのだけど、そのオチが弱いのが難点。
せめてメインのシナリオだけでも、1本長大なのがあればもっともっとメジャーな作品になれたと思います。
面白くなりそうな設定だけに、もったいないなぁと感じました。
タイトルが良すぎるんだよな。「送り犬」って。
いかにも名作ホラーっぽいじゃないですか。
そりゃ期待するなというほうが無理ってもんです。