オクトパストラベラー感想|自由度が高そうに見えて、実はそうでもないのがむしろ美点
オクトパストラベラーの評判がすこぶる良かったので遊んでみました。
結論、面白かったです。
ただ、本作と似ていると評されることがあるロマサガが好きな人は、やっぱりロマサガのほうが好きだろなーというのが感想でした。
あくまでも全然別モノのゲームとして面白いと思いました。
オクトパストラベラーは、どんなゲーム?
Nintendo Switch|ダウンロード購入|OCTOPATH TRAVELER
8人の主人公が、それぞれの目的を胸に世界を旅する。
シンプルに言うとそんなRPGです。
上の画像で左から順番に、
・オフィーリア(神官)
・トレサ(商人)
・アーフェン(薬師)
・オルベリク(剣士)
・プリムロゼ(踊子)
・ハンイット(狩人)
・サイラス(学者)
・テリオン(盗賊)
の8人が主人公です。
各キャラクターが、街中で使える固有のフィールドスキルを持っているのが特徴。
街の人から情報を聞き出したり、アイテムを盗んだり、仲間に引き入れていっしょに戦ってもらったり、逆に決闘を挑んだり。
それらの固有スキルを駆使しながら冒険を進めます。
個人的には、盗むスキルが一番のお気に入りでした。
街の人が所持しているのは回復薬のような取るに足らないアイテムが多いのですが、たまに強い武器を持っているNPCがいて、そういう人を見つけるとテンションがあがっていました。
自由度が高そうに見えて、実はそうでもないゲーム
こう書くとネガティブに聞こえますが、これはゲームの特性であって、欠点ではないと思っています。
ただ、あえてこんな風に書くのは、オクトパストラベラーを自由度が高くて、そこが面白いのであると評する人が少なくないためです。
キャラクターを8人から選べるが、結局同じ
メインに選んだキャラクター以外も、すぐに全員仲間にできます。
メインキャラだけパーティから外せないので、戦闘で有能なキャラを選んでおいたほうが多少有利ではありますが、まぁそんな大差はないです。
選んだキャラクターによってシナリオが変わることもありません。
これ、僕は別にそれでいいやと思っています。
RPGでキャラごとにエンディングが違ってもプレイするのがしんどいですからね。
最初に比較に出したロマサガはまぁそうなんですが、これ8人いて8周するかと言われたら無理ですよ。だから1回で8人全員のストーリーが見られる形式はめちゃめちゃありがたかったです。
要求レベルの都合で、攻略順がだいたい決まりがち
本作は、どの街にいけば、どのキャラクターのシナリオが進展させられるか可視化されており、攻略に必要な目安レベルも提示されている親切設計です。
で、基本的にはこんな順序での攻略になるはずです。
キャラクターごとのシナリオ1章×8
⇒キャラクターごとのシナリオ2章×8…3章、4章……
特定のキャラクターのシナリオだけを進めたくても、レベルがキャップになってしまい、結局攻略が難しいのです。
8人ぶんのシナリオを満遍なく進めていると、だいたいレベリングが丁度いい塩梅になる仕様になっています。
つまり自由に行き先を選べるようでいて、その実、だいたい予定調和な順序でしか攻略はできません。
ロマサガが自由にシナリオを進められたのは、時間経過で敵の強さが変わる仕様になっていたからです。
さっさと進めた場合、敵も弱いので、まだ勝ち目があるんです。
ただ、オクトパストラベラーの場合は、さっさと進めようにも敵の強さががっちり固定なので、ボス戦で必ず足止めを食います。
しかし、この仕様も良し悪しで、僕からすれば道筋がある程度見えているのは遊びやすいと感じました。
レベリングが自然にできるバランス調整がされているのも素晴らしいことです。
途中で立ち止まってレベル上げする必要はほぼなかったし、それでいてボスもしっかり歯ごたえがあったので、絶妙なバランス調整だったと思います。ここまでスムーズだったのは珍しいです。
シールドブレイクの仕組みで、戦い方が型にハマりがち
本作は雑魚敵もふくめてシールドが設定されており、初期状態ではダメージが通りにくいようになっています。
弱点の武器や属性で規定回数攻撃を加えることでシールドブレイクを起こし、ブレイクターン中に全力で攻撃を加えて倒す、というのが基本戦法となります。
好きなスキルやキャラクターで戦いたくても、出てくるモンスターの種類によって、明確にキャラクターの向き不向きが出てしまいます。
このシールドというのはダメージが半分以下くらいに低下してしまう強力なものなので、弱点を無視してゴリ押しするのは、適正レベルの進行だとちょっと無理だと感じました。
しかし、これもやっぱりプラスの面があって、それはキャラクターが比較的バランスよく育ちやすいということなんですね。
各キャラクターのシナリオ進行中は、そのキャラクターをパーティに編成することがMustなので、バランスよくレベリングしておかないと、結局攻略に詰まってしまうんです。
ただ、この点についてはやや異論もあって、サイラスの魔法が強すぎて特に序盤~中盤は外せない状態になっていたような気もします。
逆に育つまでは、アーフェンとオルベリクが使いにくかったです。最終的にはみんな強くなりますが。
あと、シールドブレイクの仕組みによって、勝ちパターンがある程度決まってしまうということは、裏を返せば戦術を練る楽しさもあるということです。
きっちり作戦を立てることで、戦闘が目に見えて有利になりますから。
ボス戦の戦い方がワンパターンになりがち
ボス戦が楽しかったのは、実は前半~中盤でした。
初見で全滅させられたのが、装備やパーティ編成をいじると案外サクッと倒せたりしてやりがいがありました。
ただ終盤以降は、踊子の奥義「舞踏姫シルティージの囁き」を使って技を全体化。
パーティ全員に魔法反射や物理完全回避、状態異常無効などの効果をつけて無双するという型が万能すぎて、それに頼りきりになってしまいました。
この戦法を使わないと、回復が追いつかなくて負けてしまうんですよね。
一撃でHPの半分以上を減らしてくるボスが2回行動、3回行動してきたりするので、完全回避で封殺するしか勝ち目を見出せませんでした。
まぁここは僕のプレイヤースキルの低さが露呈している部分でもあるので、上手な方は全然違う感想を持つだろうと思います。
散々書きましたが、これもやっぱり良い面もあってですねw
スキルの効果や装備効果とにらめっこしながら、必勝パターンを見つけ出すのはすごく楽しいんです。
パズル的な要素が強いRPG
本作には、シールドブレイクの仕組みや、ここでは触れませんでしたが「ブースト」という格ゲーのゲージ技みたいな要素もあります。
スキルや効果の組み合わせも多様で、上手く組み合わせると無双状態が作れるように、最初から意図的にそう作られています。
戦闘は事前の準備と戦術がすべてです。
RPGの本質は本来そうですが、そのことを強く意識させられる作りになっています。
ただ、計算高く作られているだけに、一般的なRPGよりも許容範囲がせまい感覚を受けます。つまり正解の戦略が踏めないと、あっさり負ける可能性が非常に高い設定になっています。
前半から中盤は、レベルやパーティ編成でゴリ押しできますが、終盤にいけばいくほど、文字通りボスを「攻略」することが求められます。
まずは一回戦ってみて、どんな攻撃をしてくるのか? 弱点は何か? を見極めたうえで、しっかり対策してボスを封殺します。
制作側が意図した正解を、半強制的に踏みに行かされるところが多少窮屈に感じつつも、そこにはパズル的な要素も感じられて、僕にはそれはそれで面白かったという作品でした。
こんな風な感じ方をしたRPGは個人的に初めてでした。
とても独特なRPGだと思います。