大逆転裁判1&2の感想|過去シリーズを超える完成度の高さ
ここ最近コツコツとプレイしていました。
もともと逆転裁判シリーズの大ファンで、逆転裁判も逆転検事もすべてプレイ済みです。
大逆転裁判は、逆転裁判シリーズファンからすると、期待と不安がいりまじる作品でした。
キャラクターと舞台設定が、リニューアルされてしまうのが不安で…。
果たして期待通りの面白さを維持してくれるのだろうか。
前シリーズのように愛すべきキャラクターたちは登場するのだろうか…。
と、そんなこんなで長らく手を付けられずに放置していたのを、ようやくプレイしてみたところ、これが素晴らしいの一言でした。
ほんと、もっと早く遊んでおけば良かったです。
※ネタバレあり。細かい説明をぶっ飛ばして書いているので、未プレイの人には意味がわからないと思います。
※逆転裁判シリーズのネタバレも微妙に飛び出します
- 1と2をつなげたことで、作品のスケール感が大幅UPして大作になった
- 第1話:大いなる旅立ちの冒險
- 第2話:友とまだらの紐の冒險
- 第3話:疾走する密室の冒險
- 第4話:吾輩と霧の夜の冒險
- 第5話:語られない物語の冒險
- 第1話:弁護少女の覚醒と冒險
- 第2話:吾輩と霧の夜の回想
- 第3話:未来科学と亡霊の帰還
- 第4話:ねじれた男と最後の挨拶
- 第5話:成歩堂龍ノ介の覺悟
- さいごに
1と2をつなげたことで、作品のスケール感が大幅UPして大作になった
逆転裁判って、初期の頃は1話完結型を積み上げて、最終章へ。それまでの布石もちょろちょろ程度。
だったのが、逆転裁判5や逆転裁判6あたりでは、1話から最終話までが1話完結+αで、物語全体に横串を刺す骨太な構成に進化していました。
今回は、さらに大逆転裁判1&2という形でゲーム2本分を使って、いつもより大きめの風呂敷を広げたのが特徴的だったように感じます。
以降、各話ごとにちょびちょびコメントを書いています。
第1話:大いなる旅立ちの冒險
1話は肩慣らしですよね。
チュートリアル的な要素も含むので、意義ありのツッコミ難易度も低めです。
ここで追い詰めた英国人留学生の、犯人ジェゼール・ブレットが、領事裁判権を行使することで罪を逃れてしまいます。
時代設定ならではの司法の抜け穴を利用した犯行に、消化不良さが残ります。
ただ、これが後々ちゃんと伏線として利いてきます。
第2話:友とまだらの紐の冒險
始まって早々に「え゛ー!」となりました。
おいおい亜双義死んだよ、と。
この展開は、逆転裁判1で千尋さんが殺害されたくだりを彷彿とさせますね。
身近にいる頼れる人物の死によって、なし崩し的に、成歩堂が弁護士として主体性をもって動いていくきっかけになるところが。
そういえばホームズが初参戦する回でもありました。
ホームズのつかみどころのない振る舞いに慣れていないため、彼の存在が、善か悪か分かりかねていました。まだこの段階では。
※だいぶ後のほうで出てくるシーンの画像です
意図的だと思いますが、ホームズがすごく胡散臭いキャラクターとして描かれることで、亜双義の死後もずっと張り詰めた緊張状態が持続した感はありますね。
第3話:疾走する密室の冒險
ロンドンに着いて早々に裁判を引き受けることになります。
で、ここで登場する被告が、ホームズ以上に胡散臭い。
名前もひどいw コゼニー・メグンダルってwww
ただ、キャラクター名はふざけているが、実はこいつが物語のキーマンなんですね。
裁判開始当初は、いやみな金持ちのオッサンかなぁという印象なのですが、裁判が進んで真実が明るみに出てくるにつれて、「まさかこのオッサン真犯人では?」という疑念が、あからさまに湧き上がってくる仕立てになっています。
このあたり、コントロールが上手で、成歩堂の心情とプレイヤーの心情が、かなりシンクロする部分じゃないでしょうか。
まぁゲームの仕組み上、プレイヤーのほうが少し早めに勘づいてはしまいますが。
そして、メグンダルへの疑念が膨らむ一方で、検事席に立つ死神バロック・バンジークス卿が正義を追求する善人なのではないかという思いも湧き上がってきます。
あぁ彼は御剣検事のポジションなのだな、と。
最終的に、モヤモヤした気持ちのまま裁判では無罪を勝ち取ります。
ここでは明確に、成歩堂が犯罪者を無罪にしてしまったことがわかります。
で、これは一体どうなってしまうのか…と思っているところに、すかさず事件が起こるんですね。
なんと無罪判決を受けた直後に、メグンダルが何者かによって殺害されてしまいます。
バンジークス卿が死神と呼ばれる所以が、ここで示されます。
ただ、プレイヤー視点では、「これは絶対に何者かの犯行である。しかもバンジークス卿の仕業ではないっぽい」という見立てができる展開でした。
まぁバンジークス卿の犯行に見えないところが、それ自体すでに伏線であったことを、すごーく後々に思い知らされるわけですが…。上手いよねぇ。
第4話:吾輩と霧の夜の冒險
これまで怒涛の展開が続いたので、気分的にはここで小休止という心地でした。
やっと普通のテンションで事件に向き合える回だなと。
ただ、この回も一筋縄ではいきません。被告人の夏目漱石が、相当なマヌケ者として描かれるんです。
ひどいのが成歩堂の弁護を、邪魔するような自爆証言をしてしまったりするんですねw
この辺りちょっとわざとらしくて、意図的にピンチを演出して波を作ってる感はありましたが。
ただ、事件自体は逆転裁判シリーズのなかにあって、異質でした。
いわゆる「犯人」がいない事件になります。
ガリデブ夫妻(また名前がひどいw)の仲は険悪。
結婚記念日を迎えた新婚オマーリ夫妻はラブラブ。
この対照的な2組の男女の行動が、事件を引き起こし、そして事件を複雑化してしまうという。さらに言えば、ここにマヌケな夏目漱石が巻き込まれることで、より事件の糸がこんがらがるわけです。
そこを丁寧に解きほぐすのが4話のシナリオです。この回、なんか無性に疲れました…。クリアした後ぐったりでしたね。
事件の顛末があまりにも現実離れしていたのも要因じゃないでしょうか。
あんなに都合よく包丁が刺さるかね?と。首をかしげながらの意義あり!でした。物語の構図自体は面白かったんですけどねー。
第5話:語られない物語の冒險
さすがの最終章でした。
ここは盛り上がりましたね。
質屋でスリの少女ジーナさんと再開。
ジーナさんが質入れしていたコートを引き出していると、そのコートは自分のものだと主張する英国紳士が現れて…。
さらにコートのポケットから出てきたオルゴール版の裏面には、「メグンダル」の名前が!
もうここからはノンストップで読み切りました。
ここでメグンダルにつながるのかと。
3話で消化不良だった裁判の真相が次々と明るみになります。
僕はとにかく早く事件の真相を知りたいので謎をグイグイ解いていくのですが、そこに立ちふさがるのが証人(実は犯人)たちなんですね。
そこで最後の最後に活躍するのが、寿沙都さん。
なんと質屋の扉についていたのぞき窓は、事件後に寿沙都さんが取り付けたものであることが判明するという。しかも寿沙都さんがそのことを黙っていたのは、のぞき窓の存在が事件の鍵になることを予見していたからだと。
なるほど…。5話の冒頭で、アイリスちゃんの小道具とワガハイ(猫)が登場したのはそういうことだったのか…、と感心しきりです。
そして無事に無罪判決を勝ち取った後にエピローグ。
メグンダルが質入れしていたもうひとつの物の正体とオルゴールに隠されたメッセージの謎が明らかになります。
ここで4名の人物の名前が唐突に提示されます。
しかも、その人物名の中には知った名前がいくつもあります。これは一体…。
僕の場合は、すぐに手元に大逆転裁判2があったから良かったですけど、発売してすぐに1をプレイしていた人は、どんだけの期間、このモヤモヤした気分を引きずらされたんだと。
これ1と2をセットで評価するなら全然良いのですが、ゲーム単体で見たら、これほど中途半端な終わり方もないですよね。
当然のごとく、すかさず2をプレイ開始です。
第1話:弁護少女の覚醒と冒險
寿沙都さんが弁護士になって裁判に臨みます。
それはそれで衝撃的なのですが、それ以上に驚いたのはジェゼール・ブレットの再登場。しかも被害者として。
この時点で、ジェゼール・ブレットが何らかの黒幕であるという予想がついていただけに、この展開はのっけから衝撃的でした。
黒幕候補が殺害されることで、一瞬つかみかけたと思った真相が遠のきました。よけいに先がきになる展開です。1話でこの仕掛け方は上手いなぁ…。
第2話:吾輩と霧の夜の回想
シリーズ中で、唯一、途中でダレてしまった回でした。
1話の展開を見て、猛烈に先が気になっていたところで、2話は過去の回想になります。時間軸としては巻き戻しをくらいます。ここは歯がゆかったですね。
謎解きそのものは面白かったのですが。
第3話:未来科学と亡霊の帰還
これまでも伏線はありましたが、この辺りから、最終章に向けてさらに謎が噴出してきます。
3話の事件に関係する謎と物語全体に関係する謎が入り混じって、捜査パートの段階ではかなり頭が混乱していました。
そんな状態だったので、法廷で一つ一つ謎を解き明かしていくことで、証拠品とともに頭の中が整理されていくのは爽快でした。
そして裁判終了後。プロフェッサーの正体が明かされます。
同時に、亜双義が生きていたことも明らかになります。
プロフェッサー事件に、御琴羽教授が何らかの形で関与していたことも示唆されます。
怒涛の真相開示がすごいw
亜双義の件は何となく予見していましたが、プロフェッサーの正体と御琴羽教授の件は、考えが及んでいませんでした。
ただ、この事実を知ったとき、嫌な方向に話が進んだなと感じました。何となく明るくない結末を想像しました。まぁこの予感は後々、良い意味で覆されるのですが。
第4話:ねじれた男と最後の挨拶
3話の興奮冷めやらぬまま4話に突入。
ここでさらに衝撃的な展開に。
グレグソンが殺害されます。
この時点で、僕は完全に騙されてしまいました。
大逆転裁判1の最後に名前の出た4名のうち、これで3人までもが殺害されてしまったからです。
暗号通信によって英国から日本に送られたあの4名の名前は、暗殺のターゲットとなる人物の名前だとすっかりミスリードにはまってしまいました。
第5話:成歩堂龍ノ介の覺悟
種明かしにつぐ、種明かし。
見事という他はないという感じでした。
最後、ヴォルテックス卿を追い詰める過程は手に汗握りました。
そして、大逆転裁判1をプレイしていたときから、絶対に最後の大事な場面で突きつけるタイミングが来るだろうと待ちわびていた、亜双義の刀「狩魔」。
これをズバッと突きつけるのは最高でした。
万感の思いを込めた「意義あり!」。
逆転裁判シリーズの醍醐味です。
さいごに
開発期間が長いだけあって、ものすごい完成度の高さでした。
ところどころで小ネタも利いています。
たとえばアイリスちゃん(ワトソン)が、ホームズのことを「ホームズ君」と呼んでいるのは可笑しみがあります。
本物のシャーロックホームズでは呼び方が真逆で「ワトソン君」ですからね。
細かいところまで遊びが行き届いていて、これぞゲームという感じです。
逆転裁判シリーズは発売周期が長いので、これでまた、しばらく次回作にはお目にかかれないかと思うと寂しいですが、さらなる大作に期待して待ちたいと思います。
個人的にはグレグソンとジーナが主人公のスピンオフ作品、「逆転刑事」的な作品が製作されると嬉しいです。
ダメかな。需要ないかな…。
僕の中では圧倒的に好きなキャラ1位と2位なんだけど。
あと、とても久しぶりにBGMが耳に残っています。
偶然かもしれないけど、グレグソンとジーナのそれぞれのテーマ曲が特に印象的です。
子どもの頃のゲームBGMはよく覚えているのですが、大人になってからはあまりないことなので、自分でも驚いています。
(AmazonでBGM視聴できます)