「レディ・プレイヤー1」感想:オタク的な世界観が好きな人には、最高のエンタメ
スピルバーグ監督の作品「レディ・プレイヤー1」。
Amazonで配信が解禁されていたので見てみました。
いやーめっちゃ面白かったです。
本当に140分もあるのかと思うくらいあっという間。
体感90分くらいの疾走感でした。
仮想現実がテーマの作品
本作には、オアシスという没入型のオンラインゲーム(VRワールド)が登場します。
最近、3Dのゴーグルをかけて映像を見たりするようになりましたが、あれのもっと凄いやつです。
ゲーム内で怪我をすると本当に痛みを感じたり、実際に自分の足で仮想世界を歩いているような感覚を得たりできる近未来の設定。
日本の作品で言うと、ソードアートオンラインというアニメ(元はライトノベル?)が、かなり近いですね。
仮想現実に馴染みがない人は、置き去りになるかもしれない
この手の仮想現実を舞台にした世界観は、アニメやゲームに多く触れていると割と馴染みがあるものなんです。
ゲーム内通貨でリアルの物品が買えたり、フレンドにチャットを飛ばして連絡をとったり、クエストに挑戦したり…。
仮想現実を扱う作品ならではの様式美が次々と展開されるわけですが、映画内ではあえて細かい説明はされません。
主人公がオアシス内のスタープレイヤーという設定なので、わざわざイチからゲームのルールを説明するような場面がないんですね。
この点は、予備知識のない一部の人にとっては不親切な仕様になっていると思います。
ログイン・ログアウトや死んだら装備と財産がリセットされるといった概念も、僕は当たり前のように受け入れますが、この手のゲームを知らない人にとっては、なんのこっちゃ??ですよね。
見る側を飽きさせない、矢継ぎ早の展開スピードも相まって、理解が遅れるとあっという間に置いてけぼりをくらってしまうのではないでしょうか。
そうなれば感情移入もへったくれもありません。
作中で、ハリデーがスティーブンキング原作の映画「シャイン」をデートに選んで大失敗したように、スピルバーグ監督だから安牌だと思って女性を連れて行くと、死ぬほど退屈な思いをさせてしまう可能性大の映画ですねw
教科書どおりの美しい脚本+α
本作が140分なのに90分くらいに感じた要員は、情報密度の高さにあります。
劇中に色んなサブカル関係のキャラクターが登場するなど、お遊び的な仕掛けもありますし、物語上、意味をもつ小さな伏線の類も大量に張り巡らされています。
たとえば、ソレント(社長)の部下の女性が、アルテミスの正体なのではないかと一瞬ミスリードさせるような構成になっていたり、
最初のほうでチラッと盗み見ていた社長のIDとパスが伏線になっていたり、
途中ちょっとだけ出てきた巨大ロボが、最後しっかり活躍したり、
ショップで衝動買いしていた爆弾などのアイテムが余すところなく使用されたり、
偶然手に入れた25セント硬貨に重要な秘密が隠されていたり…、
他にも山のように細かい仕掛けが施されていて、しかも中盤から終盤にかけて怒涛の展開でそれらの仕掛けが回収されていく様は圧巻でした。
ネタバレっぽいものを列挙しましたが、この程度ではネタバレにもならないくらい、細かな要素が積み重なって1本の物語として完結しています。
意味のあるシーンの連続で、物語が作られていることの心地よさ、楽しさを感じさせてくれる映画です。
あまりに教科書通りな本作の展開をベタな作品である、B級である、と解釈する向きもあるようですが、エンタメ作品であるならば、王道こそがA級なのだと僕は言いたいですね。
よく練られた台本に、さらに隙間を埋めるように配置されたオマージュやパロディの小ネタの数々。視聴者の集中力を途切れさせない工夫が素晴らしい。
映画を見て感じる、ドキドキ感やワクワク感。
現実離れした世界に引き込まれる感覚。
子どもの頃に、インディジョーンズやジュラシックパークを見たときに感じた、映画に夢中になる気持ちを久しぶりに思い起こさせてくれた作品です。
スピルバーグ監督も、いよいよ70歳を超えてしまいましたが、これからも作品を撮り続けて欲しいですね。