就職氷河期の問題は「経験値」の格差にある。政府に解決は無理。金しかない。
政府が就職氷河期の人々を救済すると聞いて。
ちょっとだけ書きます。
就職氷河期の問題は「するべき経験を、するべき年齢にできなかった」悲惨な大人たちをたくさん産んでしまったことにあります。
たとえば就活で企業に入った正社員のAさんと、就職できなくて非正規社員だったBさんがいて、どちらも40歳だとしましょう。
Aさんは入社後に研修を受け、着実に仕事を覚え、着実に仕事をこなし、後輩のマネジメントも経験し、仕事のスケールも着々と大きくなってきています。40歳と言えば、重要な案件に関わることも多い主役の世代です。
一方Bさんは、非正規で入社して研修を受け、着実に仕事を覚え、着実に仕事をこなし、着実に仕事をこなし、着実に仕事をこなし、着実に仕事をこなし、着実に仕事をこなし、着実に仕事をこなし、、、そして今日も、着実に仕事をこなしている。
Bさんの成長は、たぶん2~3年で、よくても4~5年でカンストしており、その後はほぼ成長が横ばいです。
40歳ともなれば、右肩上がりに成長してきたAさんと、途中から成長が横ばいになったBさんでは驚くような格差がついてしまいます。当然、年収にもすごい格差があります。
政府が言っているのは、40歳になったBさんを3年間のプログラムで強化人間にして社会に送り出します。ということだと思うのですが、そりゃいくらなんでも無理でしょう。
また、成長機会を与えるにしても、それは簡単なことではありません。20歳そこそこの若手が失敗してもテヘペロで乗り切れるようなことであったとしても、40歳のオッサンが同じ失敗をやらかしたら大クレームになります。
「あ、この人は氷河期マークをつけてる人だから、親切にしてあげよう」なんていう、神様のようなお客様はいません。
すべきときに、すべき経験ができていなかった、というのは取り返すのが非常に難しいことなんです。選挙の当選回数を重視する政府の方ならわかるでしょうに。
解雇規制が緩和されれば~という意見も見かけましたが無駄でしょう。
ブラック企業の温床になるだけです。
氷河期世代が40代でオジサンだから問題なのではなく、30歳なら30歳なりの経験を企業は求めますし、24歳なら24歳なりの経験を企業は求めるものです。優良企業ほどそうです。
企業が重視するのは、「自分たちのイメージする成長曲線に乗っているか」なんです。
その線上かさらに上を走っている人だけが何回でも転職OKなだけで、成長曲線以下の人は、何歳であっても転職NGです。
で、その成長曲線に乗れるかどうかの瀬戸際が、新卒の就職活動になります。
だから、1社目でブラック企業に入ってまともに教育を受けられないと人生が詰む、という事態が起こりえます。
いまどきの学生さんが呪文のように「成長できる環境…、成長できる環境…」と面談で唱えるのは、意識が高いからでもなんでもなく、成長しないとワンミスで即死する環境だから、もしものリスクに備えて経験を重視せざるをえないんです。
*
成長曲線からはずれた人をすぐさま成長曲線上に戻せるような救いの手は必要だし、政府にはそれはそれで頑張って欲しいのですが、18年以上前に心停止した死体にいまさら電気ショックを与えても誰も幸せにはならんでしょう。まぁ電気ショックを与える係の人は儲かるのかもしれませんが。。。
政府は、もういいかげん就職氷河期の人を働かせることを諦めるべきです。戦争のない国でも難民は生まれるのだと腹をくくるしかない。そこは僕たちも覚悟しなきゃいけないのだと思います。
アニメ版「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」第1話 感想。
TVアニメ「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」公式サイト – あの伝説のアドベンチャーゲームがついにアニメ化決定!AT-X、TOKYO MXほかにて2019年4月2日(火)より放送開始!
アニメ版、この世の果てで恋を唄う少女YU-NO、第一話「You Know?」の感想です。
たいしたことは書けませんが、アニメを見た方が検索して、ゲームの感想のほうに来ていただいているので、その方向けに感想を書きました。なのでネタバレなしで書いています。
原作を知ってる人間的に、100点満点の第1話でした
原作ありの作品がアニメ化されるとよく非難される、原作を知っている人からしたらどうのこうのという観点でいけば、今回の1話は原作大好きな自分からして100点満点だと思いました。
まず、筋書きがオリジナルから逸脱してませんでした。逸脱したからNGってわけではないのですが、とりあえずそうでしたよ、と報告です。論文の発見する経緯などは、ゲームだと自室で発見する流れだった気がしますが(うろ覚え)、時短演出で宅配×2で処理されていましたね。
キャラクターは、主人公の有馬たくやがやや幼い印象に
絵里子先生が原作よりもやや幼いルックスになっているのと、主人公のたくやが原作だと、高校生ばなれした、なんなら大学生かな、くらいの雰囲気を醸し出しておったのですが、アニメでは完全に学園アニメのテンプレ高校生になってました。
ただ、まぁこれは話のテンポを良くする意味でも、良い変更なんじゃないかなと思いました。
ゲームだと、1話の終わりまで行くのにもそこそこ時間がかかった気がしているので、アニメ化されることで贅肉がそぎ落とされて、めちゃめちゃ観やすくなっているなと感じています。
1話の段階で、まだはっきりとしていないこと・謎
ゲーム原作と同じく、謎が謎を呼ぶ第1話でしたが、ざっと書き起こすとこんな感じでしょうか。
・亜由美さんが母親ということらしいが、たくやとの関係がまだ不透明
・美月さんと過去になにかあったのか?
・ジオテクニクスの工事現場(海岸)での落雷事故の詳細
・自宅に送られてきた遺物と謎の論文
・海岸で見た金髪の女性の正体
・いきなり龍蔵寺先生に撃たれそうになった
・龍蔵寺先生が言うように、たくやの父親である有馬広大と母親は生きているのか?
・転校生の神奈は何者なのか?
実質23分くらいの中に、よくこれだけ謎を残したな、と。
僕は細かい点はすっかり忘れてしまっているので、徐々に思い出しながら2話以降楽しませていただきます。
*
最後に有馬たくやがタイムリープしているらしきことが判明したところで、1話は終了しました。
少なくとも1話を観た段階では、テンポが良くて、YU-NOの美味しいところどりした良作になるのではという良い予感しかしません。
難しいのは複雑化してくるシナリオを短い尺に編集しなおさなきゃいけなくなる2話以降ですね。多少、心配しつつも、毎話、生暖かい目で見守りたいと思います。
「イース8」感想|シリーズものだからと敬遠するのはもったいない名作
ここ数週間、コツコツと攻略していました。クリアまでは60~70時間くらい。これだけ重厚長大なRPGは久しぶりでしたが、買って良かったです。
むしろ「イース8」というナンバリングタイトルが故に、損してるかもしれない作品。イースシリーズは今回初めてプレイしましたが、1~7を知らなくてもまったく問題なく楽しめました。
物語の導入(あらすじ)
主人公のアドルが乗船する船が、海上でモンスターに襲撃され、乗っていた人々が海に放り出されます。乗船していた客や乗組員たちは、からくも近くの無人島に散り散りに漂着します。
アドルたちは、拠点となる基地(作中では村と呼んでいますが)を立ち上げて、徐々に仲間を増やして脱出のための準備を進めることに。そして、無人島への漂着と時を同じくして、アドルはとある少女の出てくる夢を繰り返し見るようになるのですが…。
こんな導入です。
物語の感想についてはネタバレになってしまうので記事の一番下に書いています。
軽快で爽快なアクションRPG
まずは物語の内容はさておき、アクションRPG的なところやゲーム性についての感想から。
オープンワールドチックな世界観
MAP上での動き方は、オープンワールド系のゲームみたいな感じですね。
眼前に広がるのは、どこまででも駆けていけそうな広大なマップです。
ただ、一般的なオープンワールドのゲームと違って無制限の自由があるわけではないです。行動範囲は巧妙に制限されています。フラグのコントロールがしっかりされていて、物語の進行とともに、行動範囲を広げていける仕組みです。その点はやっぱりRPGなのだなという感じ。
イース8を、オープンワールドのジャンルとして紹介しているまとめサイトなどもありましたが、個人的にはその分類には違和感があります。
感覚的に操作でき、やり込みがいもあるアクション
操作感は軽快です。かなり俊敏にキャラクターを動かせます。物理法則を無視して動ける感じが、慣れ親しんだ日本のアクションゲームの操作感ですね。
※ジャンプ後に、空中で自由に軌道を変えたりできる。
#NintendoSwitch pic.twitter.com/pVuiqanSEY
— PS4用アカウント (@PS4_photo_a) February 17, 2019
カメラ位置が神の視点(見下ろした形)でプレイできるので、一般的な3Dアクションに比べると馴染みやすいと思います。三國無双など無双系のゲームがしいて言うなら操作感が近いかも。
戦闘は、初めて間もない頃は「けっこう難しいかも…」と怯みました。が、慣れてくると丁度よくなりました。
敵の攻撃に合わせて、タイミングよくボタンを押したり回避行動をとることで、短時間の無敵状態(フラッシュガードやフラッシュムーブ)を発動できるゲームシステムになっており、それをある程度使いこなせると世界が変わる、という感じです。
#NintendoSwitch pic.twitter.com/qZgiep0mcq
— PS4用アカウント (@PS4_photo_a) February 17, 2019
タイミングさえ合えば、ノーコストで連発できますが、そのぶんタイミングはシビアです(適当にボタン連打していれば発動するかと言えば、そんなことはない)
序盤はフラッシュガードやムーブを使いこなせなくても、ゴリ押しできる難易度になっており、中盤も回復材でそれなりにゴリ押し可能。中盤以降くらいから、狙って発動できないとキツイ、、、そんな難易度でした。
キャラクターを自由自在に操作できるようになると、最初は速いと感じていた戦闘スピードがちょうど良く感じるようになります。敵の攻撃をタイミングよくガードして、無敵時間を使って大技を叩き込みます。ここまでが戦闘のルーチンで、慣れてくるとこれがめちゃくちゃ爽快で、中毒性があります。
僕の場合、RPGをプレイしていると、たいてい最後の方は、エンカウントがだるくなってくるのですが、本作は戦闘を一切面倒に感じませんでした。最後の最後まで戦うのが楽しかったです。キャラクターのレベルやスキルだけじゃなくて、プレイヤースキルも同時に磨かれていくのがやりがいになっていたと思います。
ストレスフリーなゲーム設計
いくつかポイントがあるのですが、まずはオープンワールド的なゲームでストレッサーになりがちな遠隔への移動。 これがちゃんとワープポイントが各所にあって移動が楽だったこと。
あと、無人島という舞台設定の性質上、回復材一つ手に入れるのにも、素材を集めて調合する必要があるのですが、楽に素材を入手できるポイントがきちんと設けられていたことも親切でしたね。
あつめた素材を下位素材、上位素材に交換できる仕組みも用意されていて、序盤に頑張って収集した素材が、最後まで無駄にならないようになっていたのも細かいところなんですが優しいなぁと。
で、いちばん驚いたのが、攻略サイトに頼らなくてもほぼほぼコンプに近い状態まで遊べたことですね。この手のゲームって、知っていないと絶対気づかないような仕掛けがあえて用意されていたりするのですが、そういうことはほとんどなかったです。
イベントポイントもMAP上で可視化されているので、取りこぼしが起こりにくい親切設計になっていました。
長時間のプレイにも関わらず最後まで快適に遊びきれたのは、細かい点まで配慮が行き届いているバランス調整のおかげなのだろうなぁと思います。
↓ Amazonリンク以降ネタバレ感想です。
テイルズシリーズやスターオーシャン、聖剣伝説などのゲームが好きで、無双系のゲームも好きで、という人なら、まずプレイして後悔しないと思いますので、迷っている方はぜひ!
ネタバレあり感想
ネタバレ宣言したのでさっそく書きますが、何といっても、序盤はアドルの夢が意味深でしたよね。
最初は、島の北部に街があって、ダーナはそこにいるものだと思わされてしまっていたので、街が廃墟だったときには驚いてしまいました。
よく考えたら服装が確かに古代っぽいので、あぁそうかという感じなんですが…(汗)
夢を通じて、アドルとダーナが意思疎通していく過程は、「君の名は」みたいだな、とどうでもいいことを思ったりもしました。
で、今度はダーナの存在は過去のものなのであると認識したところに、遺跡で眠る本物のダーナが登場して、また驚いてしまうんですね。え、なんで?過去のお話じゃなかったの?と。
過去の世界をちゃんとRPGとして追体験できるのが良かったです。アドルの夢としてテキストベースで処理されていたら、ここまでダーナに感情移入できなかったろうと思います。
ネタバレついでに書くと、過去のダーナのグラティカとルミナスへのスタイルチェンジは最高に楽しかったです(PS4とスイッチ版で追加された要素らしいです)。これのせいで過去編の戦闘が楽しすぎて、しばらく現実に戻ってこれなくなったほど。
過去編のシナリオでも上手いこと、騙されてしまいました。
サライ=王女までは想像できたのですが、ウーラまでは初見で見抜けず。どこのタイミングかは忘れましたが、2回目か3回目に黒ずくめの格好で出てきたタイミングで、「もしかして…」と思い当ってからは、答え合わせがしたくてしたくてたまらず、この辺りからコツコツ遊んでいたプレイスタイルが崩壊して、休日返上でクリアまで一気に駆け抜けてしまいました。
個人的には、今回のような超越者的なRPGのラスボスにはあまり興味が持てません。いつもの僕のパターンだと、ウーラが素顔をさらしたあたりで熱が冷めても不思議ではなかったのですが、ラクリモサの結末を見届けたい一心で、最後まで熱が冷めることなく遊べました。
大樹のボス撃破後に裏ボスと戦うところも、戦闘自体はもはや消化試合なんですが、ダーナと再開することがモチベーションになって、投げ出すどころか、前のめりで戦っていました。
しいて言うなら、エピローグの島からの脱出のところでダレてしまったかもしれません。
ダーナとの約束を果たした時点で、僕の中では冒険が終わってしまっていて、当初の大目的であった脱出なんてどうでも良くなっていましたw それだけ素敵なシナリオだったということなのでしょうね。
さいごに
アクションそのものが面白い上に、それをドライブさせてくれるシナリオの奥深さが相乗効果になっていたと感じます。アクションRPGって良いジャンルだな、と改めて感じさせてくれる作品でした。
ちなみに僕の操作キャラの変遷は、大まかには、アドル⇒ラクシャ⇒サハド⇒ヒュンメル⇒リコッタ⇒ダーナ&アドルという感じ。
それぞれ個性があるので、操作キャラを変えるだけで戦闘が新鮮になります。最後まで戦闘に飽きなかったのは、色んなキャラを使いこなす楽しみがあったのも影響していると思います。
クリア後に、もういちど最初からプレイしたとき、僕は最早そんな演出があったことすら忘れていましたが、冒頭で、アドルがダーナについて自著に記した言葉が引用されていました。あぁすでにこんなところにも伏線はあったのだなと感慨深かったです。
最後にアドルが記した言葉を引用して終わります。
――我々は神の道具ではない。
生きている、意思のある存在なのだ。
それでも人知を超えた運命を
否定できない瞬間は訪れる。
そんな時、君はどう振舞うだろうか?
極限に身を置いて尚、
意思と誇りを抱き続ける姿は美しい。
私はそのような存在になりたいと願ったし、
数十年を経た今となっても、
“彼女”に畏敬の念を禁じ得ないのである。
アドル・クリスティン著
『ゲーテ海案内記』序文より
ルンバと相性がいいのは、片付けはできるけど掃除ができない人。
2019年。ようやくルンバを買いました。
ロボット掃除機には前から興味があったのですが、本当に役立つのか確信がもてず、安い買い物でもないためずっと棚上げ状態でした。
ただ、新年で気が大きくなっていたこともあり、今回、思い切って購入しました。
せっかくなので、僕がルンバを買うまでハッキリと分からなくて迷っていた点について書きます。
ルンバ(ロボット掃除機)購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ちなみに僕が買ったのは、ルンバの中でも昨年発売されたばかりのリーズナブルな機種。ルンバe5です。
18~20畳くらいのリビングで使っています。
ルンバの騒音について
ロボット掃除機って、スターウォーズのBB8のように、音もなくスーッと床を走るものだと思い込んでいました。
でも、全然違いました。
掃除機ほどではありませんが、テレビ視聴の邪魔になる程度にはうるさいです。
ルンバの走行音は、ラジコンが走る音に似ていました。
ただし、スマホアプリで稼働時間を設定できるので、外出時に自動で掃除してもらえば騒音に関しては問題ありません。
ときどき近所迷惑になるというレビューを見かけたりもしますが、貧乏学生が住むようなボロアパートでもなければ、問題ないレベルだと思います。
ルンバを買えば、本当に掃除の手間が省けるのか
結論から言うと掃除の手間が省けました。
ただ、神経質な人はダメですね。ダイソンを買って自分で気のすむまで掃除したほうが良いです。
やっぱり細かいところにホコリが残ってしまったりはします。
ただ、稼働回数を多くすることである程度はカバーできます。
100%キレイな状態にはならないが、常に90~95%くらいのきれいさを保つのは得意です。
時間設定をしておけば、毎週決まった時間に掃除してくれますし、充電が少なくなる(or掃除が終わる)と、自動でホームベースに戻って充電もしてくれます。
ルンバのおかげで掃除というタスクが自動化されました。
ルンバを利用するときに困った点
ほぼなくて、基本は大満足なのですが、1点だけちょっと不便なことが。
それは、PCやゲーム機のコード類を、床に出せないこと。
ルンバの邪魔をしないように床にモノを置かない、というのは頑張ればどこの家庭でもできることですが、コード類はなかなかそれが難しいものです。
僕は、リビングのテーブルにノートパソコンを置いており、電源は部屋の隅っこからひいています。
ルンバは、そのケーブルを巻き込んでしまうんですね。これが困った。
巻き込んでルンバが壊れることはなさそうですが、コードをひきずってしまうので、勝手にコンセントが抜けるおそれはあります。
最悪の場合、火災事故にもつながる可能性がないとは言えません。
ただ、これには一応解決策があって、ルンバの侵入を防ぐバーチャルウォールというのが付属しています(標準でついているのは1個です。追加で購入もできます)
これを使えばその周囲にルンバが侵入しなくなります。
コップくらいの大きさなので、床に置いて邪魔になるものではありません。
コード類は、できるだけ1カ所にまとめてしまうのが良いと思います。
あとはコード類を浮かせておくのも手です。
可能なら、パソコンを壁際におくのもいいですね。
ヘビーユーザーでなければ、使うときはバッテリーで使用して、充電が切れそうなときだけコードをつなぐのもアリです。
とこんな感じで、ルンバ様に対してそれなりの配慮が必要ですが、総合的には便利な家電でした。
モノを地面におかないなど最低限の片づけはできるけど、掃除機をかけるのはめんどう。気づいたら部屋がほこりだらけになっている。そんな人にお勧めです。
逆に「ちょっと楽したい」程度の人だと「ルンバ様への配慮>掃除の労力」となって、全然役に立ちませんのでご注意ください。
無料のスマホアプリ「緋染めの雪(ノベルゲーム)」感想|ネタバレ感想も
「緋染めの雪」というスマホアプリ(ノベルゲーム)を遊びました。
たまたま見つけて、雰囲気がいかにも好きそうなテイストだったのでダウンロードしました。2015年ごろに発表されたゲームのようです。
これ全編無料で遊べるのですが、非常に面白かったので紹介します。
ノベルゲームは好きだけど、普段コンシューマーやPCゲームしかやりません、という人にもぜひおすすめします。
※下の方にはネタバレ感想も置いています。
あらすじ(公式より)
差出人不明のメールを受け取り、緋ノ山に登る【真由】。
目覚めると見知らぬ誰かの遺体と共に、雪洞に閉じ込められていた【瞬】。
2人の主人公を切り替え、ビデオカメラの録画と再生を駆使して、緋ノ山に眠る「罪」に迫る雪山ミステリー。
↑こんなシナリオです。
僕はノベルゲームの設定として、ミステリーも好きだし、山奥も好きなので、このあらすじを見た段階でとりあえずDLしてみようと思いました。
この設定に惹かれる方なら損はないと思います。
感想(ネタバレなし版)
謎だらけの状態からスタートして、徐々に事実が判明していく過程が見事でした。
途中でミスリードさせるような個所があって、その誤解が解かれることで、明らかになりかけていた気がした謎が、さらに深まってしまうなど、まぁネタバレなしで書こうとすると何言ってんだという話にしかなりませんが、読み応えのある展開で最後の方は結末を読まずに寝れない状態になってしまいました。
結末は完全なハッピーエンドではありません。でも、なぜそうなってしまうかの布石が、途中で何度も出てきているんですよね。思い返せば。だから納得せざるを得ないといいますか。ただただ、ありがとうと感謝しか感想が出てこないような終わり方と言いますか…。余韻のある終わり方をします。
以下、iOS版とAndroid版です。
感想(ネタバレあり版)
ということで以下からネタバレの感想です。
未プレイの方はご注意ください。
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実は姉妹がいたとか、名前の印象で性別をミスリードさせるとか、一個一個の手法は古典的なんだけど、あとからふり返ってみると、作中にはありえないほど多重に誤解の罠が張り巡らされていたような気がしています。
雑に並べるとこんな具合に。
「瞬=蔵前=二階の男=ユウキ=優希=大人雪子=子ども雪子=人形=雪子=香澄」
「=」は必ずしも同一人物という意味じゃなく、そうと誤解させるような展開もあるということなのですが…。よくもまぁこれだけ被せられたものだなと驚きます。
誰が誰なんだかはっきりとしない状況が、最後の最後までずーっと続くので、読みながらひたすら考え続けるしかない構造になっていました。
これが夢中になって読んでしまった要因だろうと思います。まさに雪山の遭難者のように、思考が同じところをぐるぐるぐるぐるさせられる展開でした。
主なロケーションは雪山と山小屋と老人のすんでいた家、それと土蔵くらいでしょうか。場面転換はほとんどない代わりに、誰が誰なのかという正体の種明かしと過去に村で何が起こったかという事実の種明かしによって、人物に対する善悪の印象が180度入れ替わり、そのたびにこれまで読み取ってきた情報の意味が何度もどんでん返しされることで、シナリオの大きな波が作られていました。
たとえば、二階の男がユウキになって、蔵前になって、雪子に暴行した犯人になって…。種明かしとともに、読み手の認識がどんどん移り変わっていくことで、物語全体の景色が違って見えてくるわけですね。
ポチポチ読みながら5分から10分に1回くらいは価値観が揺らぐような種明かしが飛び出してくるので、グイグイ引き込まれました。
結末はちょっぴり悲しいのですが、思い返せば香澄さんはすぐ具合が悪くなったり、息を切らしていたことに思い当たります。あぁそうかと。
香澄さんが思いをとげたという意味では、嫌な終わり方ではないのですが、これが完全なハッピーエンドとも思えず、やるせない気持ちになります。
クリア後には、新たに香澄さんの視点でプレイが可能(プレイヤーの認識によって)、というゲーム構造が粋ですね。
このゲームを見つけたのは本当にたまたまだったので、偶然の出会いに感謝です。
ワークライフバランスを大事にしたい女性は、事務職じゃなく営業職志望で就活するといいよ。
3月になると、本格的に就活が始まるので書いておきますね。
ちかごろワークライフバランスが流行りで、面接などでも堂々と言える風潮になってきました。これ自体は良いことです。
でも、実際にみんなが思い描くようなワークライフバランスってのは、そうそう存在しておらず、みなさん悩むわけです。
ワークライフバランスを求める女性の中には、いまだに事務職を希望する人が後を絶ちません。古い体質の企業では、確かにいまだにコピー係やお茶くみ係の延長のような事務職を募集している会社もありますが…。
そんな募集枠には、売手市場のいまでも定員をはるかに上回る学生から応募があって、すごい競争率なんだそうです。びっくりです。定時に帰れる以外になんのメリットもない仕事ですよ。スキルもたいして身につかなければ、給与も安い。しかもどうせ定年まで勤めることもできない、寿退社をする前提のポジションです。
それがめちゃくちゃ狭き門なのです。競争倍率が高いために、かなり優秀じゃないと内定がもらえません。
であるなら、優秀な女性のみなさまにご提案したい。
石の上にも3年と思って、営業職をやってみませんか。
たしかに営業職の多くは激務です。残業はほぼMUSTと考えて差し支えありません。
ですが、営業経験3年という経歴を得た暁には、顧客対応のできる事務スタッフとして、引く手あまたの市場価値を手にすることが可能です。
しかも、結婚後も出産後も派遣などの雇用形態を利用すれば、自由自在にフルタイムの仕事を得ることができるのです。
「なんだ非正規かよ」と思った方にもお伝えします。
最近では出産後などに、同じ会社で事務職の正社員として働き続けるキャリアパスも増えています。結局、社内事情がよく分かっていて、サービスのこともわかっていて、正社員とツーカーで話せる地頭の良い優秀な事務スタッフなんて、そうそう採用できないことに企業が気付き始めたのだと思います。
営業のときより給与は下がりますが、定時で帰れる正社員が良いと言うなら、このほうがよほど長く働き続けることができます。
一方、腰掛の事務職しか経験のない女性は、一度離職すると次の仕事を得るのに苦労します。なぜなら平凡な事務業務をできる人材は余っているからです。売手市場にも関わらず、事務職の求人倍率はずっと低いままです。
そういった人は、やがて事務の仕事に就けないのでオフィスワークっぽいという雰囲気に惹かれてコールセンターなどに応募して採用されるのですが、コールセンターは時給で営業職並みの理不尽さを背負わされる職場も多く、長く勤められる人はそうそういません。
そして、なんとなく職場を転々としていると、職歴がややこしくなってきます。ますます事務職には採用されなくなります。派遣会社からも「この人大丈夫かな」と思われるようになります。
ようやく現実を見てスーパーのレジとか工場のスタッフとかにも応募してみるのですが、それがまた甘くて、その世界にはその世界なりの経験があって、ずっと経験してきている人たちは何もかもが手馴れてるんですよね。手際が神なんです。あと、工場の単調さは事務の比ではありませんよ。ネットで息抜きもできないし、トイレにこもってさぼることも無理です。耐えられますか?まぁいちおう定時には終わる仕事なんですが。
それに下手すれば、そもそも採用されないでしょう。ずらずらとオフィスワークが並んだ職歴書を見た店長はギョッとするはずです。なんでいまさらウチに来るの??と不審がると思います。過去に同じような人を採用して、すぐに辞めた経験をしている店長も多いはずなので、不採用になってしまうこともあると思います。
*
気持ちが暗くなってくるのでもう止めにしますが、とにかく、ワークライフバランスを実現したいのなら、それは何年先まで見据えてワークライフバランスなのか、をよく考えて就職活動をなさったほうが賢明です。
もちろん、これはあくまでも事務職がやりたい人かつ、働き続けたい人向けの話です。専門職として就職予定の方や結婚・出産で早々に仕事から離れる予定の方には当てはまりません。
新卒採用の話を企業の方としているときに、「一般職のほうはいかがですか」という話題になったときの、採用担当の方のどうでもよさそうな顔といったらありません。
ほっておいてもいくらでも集まるから興味がないんです。どうせ数年で辞める、いやむしろ辞めてほしい、とか思われているんです。事務職ってそんな扱いなんです。それでもみなさん、わざわざ大学を卒業してまで、事務職を志望しますか?
これが全ての答えではありませんが、ぜひ考えてみてください。
家売るオンナが教えてくれた、顧客の潜在ニーズに踏み込むことの大切さ。
北川景子が主演の「家売るオンナ」の続編「家売るオンナの逆襲」がスタートしました。
忙しくてタイムリーには見れなかったんだけど、後からみたら、営業の仕事について説明するためのよいモデルケースになっていたので、それについて話をします。
- テーコー不動産:お客様の抱えていた課題
- ソリューション① 足立 聡のご提案
- ソリューション② 留守堂 謙治のご提案
- ソリューション③ 三軒家 万智のご提案
- 営業のセオリーが端的に表現されている
- 留守堂が登場したことで、見せられる提案の幅が広がった
以下、利用画像は家売るオンナの逆襲の公式サイトと公式動画より
テーコー不動産:お客様の抱えていた課題
クライアントのにくまる様(加藤諒)は、過激な動画をUPすることでPVを荒稼ぎするYoutuberです。
そんなにくまる様は、世間から向けられる好奇の目にストレスを感じ、静かに暮らせる住まいを探していました。
ソリューション① 足立 聡のご提案
テーコー不動産のエース営業マンである足立くん(千葉雄大)は、
万全のセキュリティを備えた、億ションをご提案。
ソリューション② 留守堂 謙治のご提案
フリーの不動産屋である留守堂さん(松田翔太)は、
人里離れた場所にある土地付きの平屋をご提案した。
よりリラックスして生活いただくために、にくまる様が幼少期に住んでいた住居に似た間取りの家をチョイスする気遣いも見せた。
ソリューション③ 三軒家 万智のご提案
にくまる様は、言葉では干渉されずに静かに暮らしたいと言っていましたが、本心はYoutuberとして注目を浴びる生活を続けたいと思っている、と、サンチ―こと三軒家チーフ(北川景子)は推察。
往来の真っただ中にあるガラス張りの一軒家をご案内。
3者のプレゼン結果は?
・足立くんの提案したセキュリティ完璧の億ション ⇒失注
・留守堂さんの提案した、人里離れた平屋 ⇒受注
・サンチ―の提案した⇒ガラス張りの一軒家 ⇒受注
おそらく受注額は、街中の物件であるサンチ―のほうが上だと推察できます。
営業のセオリーが端的に表現されている
足立くんの提案は3流
顧客が言ったことに適合「しそうな」商品をそのまま当てはめただけ。
表面的なセキュリティは高そうに見えたが、結局、住人がにくまる様のことをTwitterに書き込んでしまい、静かに暮らしたいにくまる様の要望はかなえられなかった。もちろん結果は失注。
留守堂さんの提案は2流
顧客の要望をきちんと受け止めて、それが最大限かなえられる環境を提示している。だからこそすんなりと受注できた。
しかし購入後、人目のない環境でぼーっと過ごしてみた結果、にくまる様はその生活に物足りなさを感じてしまった。
受注はできたけど、リピートはできないパターンの売り方。
サンチ―の提案は1流
当初は受け入れられなかったが、サンチ―自らYoutube出演して、にくまる様の承認欲求をくすぐることで、にくまる様は自らに眠る潜在的な欲求に気が付き、一軒家の購入を決断した。にくまる様は、現在もYoutuberとして活躍中。
満足度が高いため、リピートの可能性がある売れ方。
留守堂が登場したことで、見せられる提案の幅が広がった
「家売るオンナの逆襲」で初参戦した留守堂が、サンチ―と足立チーフのちょうど中間くらいのレベルの営業マンに設定されており、ドラマの展開の幅が広がった感があります。
また、今回は提案の内容だけを比較しましたが、提案時のコミュニケーションスタイルで言えば、留守堂のほうがお客様によりそって傾聴する姿勢をしっかり見せていた点などは、サンチ―よりも明らかに上手です。
サンチ―のコミュニケーションは、現実だと無礼になってしまうことも多いですからねw
前作の家売るオンナでは、サンチ―の提案が、最後には通ることが確実に思える展開ばかりでした。そのサンチ―無双な展開は、安心して見れたし、快感だったし、家売るオンナらしさでもあったと思います。
ただ、今回シリーズ化されるにあたり、留守堂の存在ができたおかげで、ドラマの展開が良い意味で読みにくくなりました。
まだまだ実力が未知数な留守堂の存在が、シナリオをもう一段深めてくれるのではないかと、個人的には楽しみにしています。
「送り犬」感想|スマホアプリにするのはもったいなかった題材
送り犬というノベルゲームを遊んでみました。
もとはスマホアプリだったのが、ニンテンドースイッチに移植されたようです。
「送り犬」のあらすじ
送り犬、というのは兵庫の田舎に伝わる話(という設定に作中ではなっています)
実際には、日本全国に伝わるものらしいです。
創作かと思いきやWikiもありました。
夜道で後ろからついてくる足音があったらふり返ってはいけない。
ふり返らなければ、家に帰るまでの途中、自分を狼や魔物などから守ってくれる。
もしふり返ったら食い殺されてしまう。
あと歩いている途中で転んでもいけない。転んでも食い殺されてしまう。
転んだときはこんなふうに言うとよい。
「どっこいしょ、一休みでございます」。
こんな伝承の話が冒頭にあり、主人公は財部 美穂(たからべ みほ)という女子大生。
この美穂ちゃんが、様々な怪異に巻き込まれていく、という展開。
ネタバレ感想
ということで、さっそくネタバレ感想にいきます。
気になった方は安いので買っちゃってください。
ニンテンドーeショップで1000円以下で買えます。
・
・
・
1プレイはMAX30分程度
思ったより話が短くて驚きました。
とんでもない急展開だらけ。サクッと遊びたい方向けです。
じっくり読みたい気分でプレイすると肩透かしを食らうこと確実でしょうね。
バイト先の店長夫妻の話
バイト先の店長夫妻が人殺しという展開はインパクト重視にもほどがある。
けど、最初に進んだのがこのルートだったので、この時点では、まだ期待感は大きかったです。
拾った犬「シロ」が、事件を引き寄せているのではないか?という奇妙な展開にも心惹かれました。
ところが、シロの設定がこの後のシナリオで活かされることはありませんでした。残念。
ポメラニアンのシャルルの話
いきなり犬目線の話に切り替わるのは驚いた。しかしそれだけ。
話の行き先が見えなさ過ぎて読むのがちょっぴり辛かった。
しかもオチもたいしたことなかった。
仙田さんの話
仙田さんが猟奇殺人鬼というシナリオは気持ち悪かったけど、あまり怖くなかったです。途中の会話の展開でわかっちゃうんですよね。
ここに至るまでにいくつかエンディングを見て、だいたい話の展開の傾向が分かってしまったのも影響あると思います。
主人公の美穂ちゃんがメンヘラ化してテキストが鬱化しており、そっちに気を取られた感もあります。
警備員さんの話
これもオチが弱い。
どれもこれも手あかがつきまくったような展開にも関わらず、すべて中途半端に終わる。
黒電話の話は面白そうなんだけど、やっぱりオチがうやむや。
山崎剛史の話(シーガールの話)
これはニンテンドースイッチで追加された話らしい。
山崎くんのシーガールの話はちょっぴりときめいた。成長した人魚がえらく可愛い(あえてキャプチャは載せませんw)
最後「どもり治ったな」の一言とともに暗転して終わり、という良い話っぽい、余韻あるふうの終わり方だけど明らかに消化不良です。
あのあと山崎くんはどうなったんでしょう。
シーガールは、食った人間の人格をコピーするらしき設定もありましたが、活かしきれていませんでした。
実話怪談を聞いているかのような、手ごたえのない話のオチなんだなぁ。この話に限らずだが。
もちろん想像はできますよ。だからシナリオとしてギリギリ成立してはいます。
まとめ
シナリオが全体的に短いので、物語を楽しむのではなく、展開を楽しむゲームという印象。
もとがスマホアプリなので、あまり重厚長大なシナリオを求めるのは酷なのかもしれませんが…。
据え置き機で遊ぶには、もうすこし歯ごたえが欲しかったなぁ。
斜め上をいく、とんでもな展開を繰り広げるシナリオ展開は、ノベルゲームの名作「かまいたちの夜」を彷彿とさせます。
でも、そのどれもが急展開かつ小粒。
送り犬の秘密が明かされるメインシナリオですらも小粒。
さきほども書きましたが、シロの設定の件、あとアパートに投函されている手紙の件も。
思わせぶりな展開で期待を煽られるワクワク感はあるのだけど、そのオチが弱いのが難点。
せめてメインのシナリオだけでも、1本長大なのがあればもっともっとメジャーな作品になれたと思います。
面白くなりそうな設定だけに、もったいないなぁと感じました。
タイトルが良すぎるんだよな。「送り犬」って。
いかにも名作ホラーっぽいじゃないですか。
そりゃ期待するなというほうが無理ってもんです。
「籠庭のクックロビン」感想|半日で遊べる秀作ホラーノベル
Nintendo Switch|ダウンロード購入|籠庭のクックロビン
籠庭のクックロビンというノベルゲームをプレイしました。
もとはスマホゲームとしてリリースされていたのがニンテンドースイッチでダウンロード配信されているようです。
半日くらいで遊べるボリュームのノベルゲームです。
あらすじ/怪しげな洋館が舞台
とある貴族の屋敷に奉公に出された主人公のロビン(メイド)は、屋敷のベッドで目覚めます。
奉公先の屋敷に着くなり、緊張と疲労で気を失ってしまったとのことでした。
物語はこんな導入。
屋敷内で最初に出会う人物が、同じ同僚メイドのモスカです。
斜視という設定なのですが、キャラデザインが極端なせいもあって、いきなりギョッとさせられました。
開始早々いきなりこれです。
屋敷の特異性を意識せざるを得ません。
この後も、片腕の服職人や
胴体が1つにつながった双子など、
社会的にはいわゆる障がい者に分類されるような人々のオンパレードで、見た目にもかなりインパクトのある人物が多く登場します。
極めつけは館の主人。
なんと包帯男です。
怪しすぎる。
読みながら、なんだこの屋敷は…と不気味さを感じつつも、
ロビンはメイドとして屋敷での生活に順応していくわけですが…。
みんな表面的にはロビンに親切だったり気を遣っていたりするそぶりを見せます。
でも、、、何かを隠しごとしているようなんですね。
さらにロビンは、深夜の館に徘徊する怪しげな異形の影を見てしまいます。
屋敷の人々が意味深げに口にする「こまどり」という言葉もミステリアスです。
さて、
ここまでで興味を持たれた方は、もうダウンロードして遊んじゃったほうが良いです。
値段も定価1200円で安いですし。
体験版もあります。
こっちは紹介動画。
ということで、
ここから下はネタバレの感想になります。
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謎の提示と種明かしの流れが鮮やか(ネタバレ感想)
冒頭で散々思わせぶりな設定や「こまどり」というキーワードが提示され、最後にはものの見事に伏線が回収されます。
半日程度で読み切れる内容なので、読んでいるこちらも細かい点まで記憶しているから、なおさら伏線回収は気持ちが良かったですね。
屋敷で働く人物がロビンに対して発していた言葉や態度について、最後にはすべて合点がいきます。
まさかロビンが仮病でお腹が痛いと言ったときに医師のポワソンが慌てた様子だったのは、ロビンに流産の過去があったからだったとは。
スカラが小さな服を夜な夜な作っていたこともそうです。
コマドリが死んだと言うとモスカが取り乱したこともそうです。
他にもたくさんありました。
個人的に見事だと感じたのは、屋敷のみんなはロビンについての秘密を共有していたわけですが、それぞれのキャラクターの抱える障害と個々の性格によって、同じ秘密を抱えていても表出する態度や言葉がまったく異なったことでしょうか。
その言動や態度の違いがキャラクターの個性だったし、すべてを理解したあとに思い起こすと、秘密の隠し方(あるいは隠せないこと)までも包含して、キャラクターの個性になっていたことがよくわかります。
そしてラストの結末。
途中までは猟奇的な展開を想像していただけに、館の人々のロビンへの歪んだ愛情が答えだったとは意外でした。
エンディングは全部で8種類ありましたが、なかでも足を切断されるエンドは刺激が強かったですね。
ただ、それも上手いミスリードになっていたように感じます。
僕はスカラが片腕であることと関連付けて読んでしまい、推理を混乱させられてしまいました。
これがなければ、もうちょっと早く真相に近いところまで読み解けた気がするのになぁ。悔しい。
ニンテンドーeショップでたまたま見つけて遊んだら、予期せぬ秀作に出会えました。
週末にサクッと楽しめる、このくらいのボリュームの作品もいいですね。
オクトパストラベラー感想|自由度が高そうに見えて、実はそうでもないのがむしろ美点
オクトパストラベラーの評判がすこぶる良かったので遊んでみました。
結論、面白かったです。
ただ、本作と似ていると評されることがあるロマサガが好きな人は、やっぱりロマサガのほうが好きだろなーというのが感想でした。
あくまでも全然別モノのゲームとして面白いと思いました。
オクトパストラベラーは、どんなゲーム?
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8人の主人公が、それぞれの目的を胸に世界を旅する。
シンプルに言うとそんなRPGです。
上の画像で左から順番に、
・オフィーリア(神官)
・トレサ(商人)
・アーフェン(薬師)
・オルベリク(剣士)
・プリムロゼ(踊子)
・ハンイット(狩人)
・サイラス(学者)
・テリオン(盗賊)
の8人が主人公です。
各キャラクターが、街中で使える固有のフィールドスキルを持っているのが特徴。
街の人から情報を聞き出したり、アイテムを盗んだり、仲間に引き入れていっしょに戦ってもらったり、逆に決闘を挑んだり。
それらの固有スキルを駆使しながら冒険を進めます。
個人的には、盗むスキルが一番のお気に入りでした。
街の人が所持しているのは回復薬のような取るに足らないアイテムが多いのですが、たまに強い武器を持っているNPCがいて、そういう人を見つけるとテンションがあがっていました。
自由度が高そうに見えて、実はそうでもないゲーム
こう書くとネガティブに聞こえますが、これはゲームの特性であって、欠点ではないと思っています。
ただ、あえてこんな風に書くのは、オクトパストラベラーを自由度が高くて、そこが面白いのであると評する人が少なくないためです。
キャラクターを8人から選べるが、結局同じ
メインに選んだキャラクター以外も、すぐに全員仲間にできます。
メインキャラだけパーティから外せないので、戦闘で有能なキャラを選んでおいたほうが多少有利ではありますが、まぁそんな大差はないです。
選んだキャラクターによってシナリオが変わることもありません。
これ、僕は別にそれでいいやと思っています。
RPGでキャラごとにエンディングが違ってもプレイするのがしんどいですからね。
最初に比較に出したロマサガはまぁそうなんですが、これ8人いて8周するかと言われたら無理ですよ。だから1回で8人全員のストーリーが見られる形式はめちゃめちゃありがたかったです。
要求レベルの都合で、攻略順がだいたい決まりがち
本作は、どの街にいけば、どのキャラクターのシナリオが進展させられるか可視化されており、攻略に必要な目安レベルも提示されている親切設計です。
で、基本的にはこんな順序での攻略になるはずです。
キャラクターごとのシナリオ1章×8
⇒キャラクターごとのシナリオ2章×8…3章、4章……
特定のキャラクターのシナリオだけを進めたくても、レベルがキャップになってしまい、結局攻略が難しいのです。
8人ぶんのシナリオを満遍なく進めていると、だいたいレベリングが丁度いい塩梅になる仕様になっています。
つまり自由に行き先を選べるようでいて、その実、だいたい予定調和な順序でしか攻略はできません。
ロマサガが自由にシナリオを進められたのは、時間経過で敵の強さが変わる仕様になっていたからです。
さっさと進めた場合、敵も弱いので、まだ勝ち目があるんです。
ただ、オクトパストラベラーの場合は、さっさと進めようにも敵の強さががっちり固定なので、ボス戦で必ず足止めを食います。
しかし、この仕様も良し悪しで、僕からすれば道筋がある程度見えているのは遊びやすいと感じました。
レベリングが自然にできるバランス調整がされているのも素晴らしいことです。
途中で立ち止まってレベル上げする必要はほぼなかったし、それでいてボスもしっかり歯ごたえがあったので、絶妙なバランス調整だったと思います。ここまでスムーズだったのは珍しいです。
シールドブレイクの仕組みで、戦い方が型にハマりがち
本作は雑魚敵もふくめてシールドが設定されており、初期状態ではダメージが通りにくいようになっています。
弱点の武器や属性で規定回数攻撃を加えることでシールドブレイクを起こし、ブレイクターン中に全力で攻撃を加えて倒す、というのが基本戦法となります。
好きなスキルやキャラクターで戦いたくても、出てくるモンスターの種類によって、明確にキャラクターの向き不向きが出てしまいます。
このシールドというのはダメージが半分以下くらいに低下してしまう強力なものなので、弱点を無視してゴリ押しするのは、適正レベルの進行だとちょっと無理だと感じました。
しかし、これもやっぱりプラスの面があって、それはキャラクターが比較的バランスよく育ちやすいということなんですね。
各キャラクターのシナリオ進行中は、そのキャラクターをパーティに編成することがMustなので、バランスよくレベリングしておかないと、結局攻略に詰まってしまうんです。
ただ、この点についてはやや異論もあって、サイラスの魔法が強すぎて特に序盤~中盤は外せない状態になっていたような気もします。
逆に育つまでは、アーフェンとオルベリクが使いにくかったです。最終的にはみんな強くなりますが。
あと、シールドブレイクの仕組みによって、勝ちパターンがある程度決まってしまうということは、裏を返せば戦術を練る楽しさもあるということです。
きっちり作戦を立てることで、戦闘が目に見えて有利になりますから。
ボス戦の戦い方がワンパターンになりがち
ボス戦が楽しかったのは、実は前半~中盤でした。
初見で全滅させられたのが、装備やパーティ編成をいじると案外サクッと倒せたりしてやりがいがありました。
ただ終盤以降は、踊子の奥義「舞踏姫シルティージの囁き」を使って技を全体化。
パーティ全員に魔法反射や物理完全回避、状態異常無効などの効果をつけて無双するという型が万能すぎて、それに頼りきりになってしまいました。
この戦法を使わないと、回復が追いつかなくて負けてしまうんですよね。
一撃でHPの半分以上を減らしてくるボスが2回行動、3回行動してきたりするので、完全回避で封殺するしか勝ち目を見出せませんでした。
まぁここは僕のプレイヤースキルの低さが露呈している部分でもあるので、上手な方は全然違う感想を持つだろうと思います。
散々書きましたが、これもやっぱり良い面もあってですねw
スキルの効果や装備効果とにらめっこしながら、必勝パターンを見つけ出すのはすごく楽しいんです。
パズル的な要素が強いRPG
本作には、シールドブレイクの仕組みや、ここでは触れませんでしたが「ブースト」という格ゲーのゲージ技みたいな要素もあります。
スキルや効果の組み合わせも多様で、上手く組み合わせると無双状態が作れるように、最初から意図的にそう作られています。
戦闘は事前の準備と戦術がすべてです。
RPGの本質は本来そうですが、そのことを強く意識させられる作りになっています。
ただ、計算高く作られているだけに、一般的なRPGよりも許容範囲がせまい感覚を受けます。つまり正解の戦略が踏めないと、あっさり負ける可能性が非常に高い設定になっています。
前半から中盤は、レベルやパーティ編成でゴリ押しできますが、終盤にいけばいくほど、文字通りボスを「攻略」することが求められます。
まずは一回戦ってみて、どんな攻撃をしてくるのか? 弱点は何か? を見極めたうえで、しっかり対策してボスを封殺します。
制作側が意図した正解を、半強制的に踏みに行かされるところが多少窮屈に感じつつも、そこにはパズル的な要素も感じられて、僕にはそれはそれで面白かったという作品でした。
こんな風な感じ方をしたRPGは個人的に初めてでした。
とても独特なRPGだと思います。
ドラゴンクエストビルダーズ2 感想|ゲーム本編が、壮大なチュートリアルになっている
ドラゴンクエストビルダーズ2をプレイしました。
ビルダーズ1は気になっていたけどスルーしてしまったので、2からの参戦です。
DQビルダーズ2は、こんな内容のゲーム
まず、世界観はドラクエです。
システムは、いま増えてきているオープンワールドの形式。
ゼルダの伝説ブレス オブ ザ ワイルドとかスカイリムとかそういうのと同じですね。
プレイヤーは、3Dのマップ上を自由に動き回れます。
異なるのは、マップがすべて正方形のブロックを積み上げて作られている点です。
DQビルダーズでは、このブロックを破壊したり積み上げたりして、ドラクエシリーズでおなじみの酒場や教会といった建物を自由に作って遊べるゲームになっています。
僕はプレイしたことはありませんが、マインクラフトというゲームが本家で、建物を建てる点においては、より緻密にやれるゲームのようです。
戦闘は超簡単なので、3Dアクションが苦手な人でも大丈夫
ドラゴンクエストですので、当然モンスターとの戦闘があります。
バトルは完全な3Dのアクションです。
ただ、アクションが専門のゲームに比べれば何てことはありません。
苦手な人でも回復アイテムを使いながら攻撃ボタンを連打していれば何とかなるレベルです。
仮にやられても街に戻されるだけで、ペナルティは一切なし。
クリアとは関係ないおまけ要素の部分では、多少、敵の動きを読んで立ち回るようなことも要求されますが、それとてレベルを上げればある程度ごり押しは効くようになります。
ゲーム本編が、壮大なチュートリアルになっている
本作の最大の魅力である「建物を建てる」という行為。
ネットで検索すると上級者による超大作がたくさん公開されており、自分にこんなの本当にできるのかと不安になりますし、それもあってなかなか手が出せずにいたのですが、結論、まったくの初心者でも全然楽しめるゲームでした。
というのもこのゲーム、物語にそって進んでいく過程で、様々な建物を建てることがお題として設定されていきます。
最初は、単にブロックを積み上げて囲いを作ったところにドアを設置するだけの簡素な部屋づくりからスタート。
それが徐々にキッチンを作ったりトイレやお風呂を作ったりと、要求される難易度があがっていきます。
この難易度設定が驚くほど絶妙で、ちょっと困難なんだけど、やれば出来るし、達成感もある、といういいハードルの高さを常に維持した状態で、物語が進行していきます。
シナリオを楽しみながらゲームを進めていくと、最終的にクリアしたときには、誰でもお城やピラミッドといった巨大な建造物を作れるスキルが身につく仕組みになっています。
ゲームをクリアしたいまでは、当初「こんなもの自分に作れるのだろうか…」と不安に感じていたネット上の数々の大作も、実際どんな風にして作られているのか、十分に理解することができます。
ここはこんな風にブロックを積んでるんだろうな…。
あのブロックをこんな使い方で…なるほど。
と、そんな風に思えるくらいには、誰もが上達できるゲームデザインになっているんです。
DQビルダーズは、クリア後に自由に建物づくりができるフリーモードがスタートします。むしろこちらが本編だとも言えます。
ここからハマる人は何十時間、何百時間とハマっていくのでしょうね。
僕はそこまで時間がなかったので、ほどほどのところで退場しましたが(汗)
シナリオ本編が、プレイヤーに建物づくりを楽しく学んでもらうための壮大なチュートリアルとして機能していることが印象的でした。
ホームセンターがDIY教室をひらいて、お客さんにモノづくりの楽しさを伝えているのと同じですね。
ひとたび建物づくりの面白さに目覚めてしまったプレイヤーは、シナリオから課される「お題」がなくなっても、自ら作りたいものを定め、イメージを膨らませ、自主的に建物づくりに没頭します。
そういえば、物語中にビルダーズの鐘というのが登場していました。
鐘を鳴らすと人々がモノづくりの素晴らしさに目覚めるという設定なのですが、実は遊んでいるプレイヤー自身も、徐々に建物づくりの楽しさに目覚めていっていたのでしょうね。今思えば。
つくづくよくできたゲームだなと思います。
かく言う僕も、ほどほどで退場したとは言いつつ、シナリオクリア後も何十時間かは黙々と素材を集めて建物づくりに没頭しました。
休日などにプレイすると、気づいたら夜中になっていることもしばしば。
ハマると危険ですが、忙しい方はシナリオモードだけでも遊ぶ価値はあります。
ここでは触れませんでしたが、友情をテーマにした物語で、大人から子供まで楽しめる素敵なストーリーになっています。
ドラクエ2を下敷きにした設定だけに、ドラクエシリーズと連動したアイテムや建物が登場するのもファンには喜ばしい限りです。
※僕はスイッチ版をプレイしましたが、処理能力が限界ギリギリっぽかったので、ゲームはテレビ画面でしかやらん!という方はPS4版もお勧めです。
ネタバレ的な感想やツッコミなど
ここからはネタバレも多少ありつつ、感じたことを何点か。
ガラスごしに見ると水や炎が消えてしまう
まず、ガラス越しに風景を見ると、水や炎が消えます。
これは非常に残念。
水族館のような演出ができなくなりますからね。
モノを持ち上げてるように見えて、実は宙に浮いている
良く見るとモノを持ち上げたときに、モノが空中に浮遊しているのもいただけません。
キャラの等身的に手が短いのでそうなってしまうのでしょう。これはまぁしょうがないかなあ。
水が重力に逆らいがち
あとかわきのツボで注いだ水が、重力に逆らいがちです。
これは気持ち悪いので何とかして欲しいところ。
普通の感覚で言えば、高いところから注げば低いところに水が広がっていくはずなんですがそうなりません。イメージ通りに水が注げないんですよね。
カメラワークがちょっと…
カメラワーク的なところで言うと、屋根のついた建物から出たときに、視点を遠景に調整する機能も欲しかったです。入るときはちゃんと寄ってくれるのですが、出たときに調整がないんです。
これは屋根の有無にかかわらず、大きな障害物が手前に来たときにも同様のカメラワークが発生するため、いちいち視点を遠景に切り替えるのがめんどうでした。
ドラクエシリーズに対するオマージュ的な演出がいい
たとえば、主人公が捕らえられて奴隷として働かされるところは、ドラクエ5を彷彿とさせます。
ローレシア場で、神官が捕らえられていた地下牢がちゃんと作られていたのも懐かしかったです。
DQビルダーズは、極論、公式が同人ソフトを作ったようなものですからね。
銅の剣など、おなじみの武器を自分で作れるのも楽しいです。
あとシドー(ボスの方)と3D戦闘できたのも、個人的には懐かしくも新鮮でワクワクしました。
罠を使った戦闘、もっとやりたかったよ!
罠をしかけて戦う戦闘が、めちゃめちゃ楽しいんですよ。
フリーモードでも魔物が攻めてくるようなモードがあったらなぁ…。
ムーンブルグ以降にも新種の罠を作れるのだけど、ほとんど使いどころがないんだよなぁ。
追加コンテンツなどで、戦闘に特化した島がアップデートされたりするのかな。もしそうだとしたら嬉しいです。
オープンワールドゆえの弊害
仕組み上、いきなりMAP全体に行けてしまうんですね。
基本的にはそれで問題ないと思うのですが、シナリオ進行上あまりよろしくないときもありました。とくにムーンブルグ編。
なんの説明もないままローレシア城に入ってしまうと「なんのこっちゃ??」となってしまいます。僕はなりました。
あとからシナリオにそって進んだ時にあぁそういうことね、と。
あと、同じくムーンブルクで、モンスター軍団がいるから正面突破は無理と言われるのですが、そういわれると特攻したくなるじゃないですか。
で、実際いってみると案外余裕です。相手にダメージが通らない設定にはなっていますが、逃げ回りながら探索できてしまいました。
この辺り、もうちょっとだけ辛い設定でも良かったんじゃないかなと。
海に入ったらラスボスより強いマーマンが襲ってきますけどもw 上空に対しても、同様の措置をとったほうが良かったのかなと。
ビルダーズの場合は、足元にブロックを積んで高いところから滑空すれば、容易くMAPの隅まで飛んでいけてしまいますからね。
ドラゴンが飛んできて撃ち落されるとかにしておかないと、初見の際の探索がユルくなりすぎるような気もしました。
シナリオの設計がしっかりしている
冒頭に出てきた幽霊船の船長があとで出てくるのは、ありがちな構成なんだけどやっぱり嬉しいです。出てくるタイミングがまたいいんですよ。シドーと離れて心細さを感じているタイミングというのが絶妙です。
そもそもシドーを仲間という設定してしまうのも、大胆で面白いアイデアです。
いつかは戦うことになるのだろうなと思いつつも、そのときがいつ、どのタイミングで訪れてしまうのか、プレイヤーはハラハラさせられます。
敵になった後も、お約束通りに仲直りする素直なシナリオで、スッキリした気持ちになれるのもグッドです。
シドーが主人公のために薬草を作るシーンは、グッとくるものがありました。
冒頭から何度も繰り返されてきた、シドーだけがビルドできないという破壊神の設定がここで生きます。
このネタを最後の最後に持ってくるところが演出として憎らしいですね。
*
今後も追加コンテンツが用意されているようなので、気長に待ちたいと思います。
僕はダウンロード版を購入したのですが、そのときに追加コンテンツもセットになったバージョンを勢いで買っちゃったので。
アップデートはまだ先みたいですが…。
「DESIRE remaster ver」感想(ネタバレあり)
2019年4月にアニメ化される「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」と作者が同じ(菅野ひろゆき)であるアドベンチャーゲーム「DESIRE」の感想です。
元は18禁のゲームなのですが、アダルト要素がカットされたリマスター版もあったのでそちらをプレイしました。
あらすじ
物語の導入は、記者の主人公アルバートが、孤島にある謎に包まれた研究施設「DESIRE」を訪れて真相に迫る、という筋書きです。
謎めいた何かがあって、それを解き明かしていく展開は、個人的に好きなシナリオのパターンのため、僕は読み始めてすぐに夢中になりました。
コマンド選択式で読み進めていく、ゲームシステム
いま遊ぶには、いささか古い仕組みです。
●見る・調べる
●移動する
●話す
といったコマンドを選択しながら、物語を進めていく形式のゲームです。
そのため、いわゆるノベルゲームとは文体も大きく異なります。
主人公が何かアクションをしたり発言したことに対して、相手のリアクションが返ってきて、また次のコマンドを入力すると、それに応じたリアクションが返ってくる…この繰り返しです。
シナリオを進めるために必要なコマンドは決まっているため、総当たりで順番にコマンドを試していくような読み方になります。
サクサク読みたい人にはめんどうなシステムですが、時間に余裕のある方は、ハズレの選択肢も含めて楽しんでみても良いかもしれません。
僕はシナリオを純粋に楽しみたかったので、途中からはヒントモードを活用して正解のコマンドのみを入力してサクサク進めました。
DESIREは、いわゆる「フラグ」や「分岐」がない一本道のシナリオであるため、物語を楽しみたい方にはヒントモードの活用を断然お勧めします。
ヒントモードがないバージョンをプレイした方の感想の中には、めんどくさい、テンポが悪い、といった内容も見受けられましたが、僕は答えを見ながら進められたので、会話中心に展開されるシナリオに対して、むしろテンポが良い印象を抱きました。
20年以上も昔の作品だが、いまでも鑑賞に耐え得る名作
ここからは物語について。
まずはネタバレなしであっさり書きます。
オリジナルは1990年代に発売された作品ですが、いまプレイしても新鮮に感じたし面白かったです。
謎の研究施設に降り立って島を探索するという設定にワクワクする人であれば、ほぼ間違いなく楽しめる内容だと思います。
謎を解き明かすために探索すればするほど、かえって疑問が沸きあがってくるシナリオのため、物語にグイグイ引き込まれていきます。
主人公が記者の設定で、相手の言葉尻を捉えるのが上手なんです。
島で働く研究者などに質問したとき、相手が何かをはぐらかそうとしたことに気づいたり。そこでさらに質問をかぶせて痛い所を突いてみたり。
会話のやりとりに緊張感があって退屈しません。どんどん話を読み進めたくなります。
出てきた疑問点に関しても、最終的には、一部を除きそのほとんどに一応の答えが示されるため、消化不良に陥ることがないのも美点でしょうか。
読み物の余韻としてのモヤモヤは残りますが、不納得の意味でのモヤモヤはほとんど残らないシナリオだと思います。
ノベルゲームはいわゆる「萌え」を強調した学園設定のほのぼのしたのが多いため、本作のように独自の世界観を作り込んだハードな作品は希少です。
あまりチャレンジされてこなかった分野だけに、本作「DESIRE」がいまでも依然としてトップクラスの作品に感じられてしまうのは幸か不幸か…、複雑な心境ですね。
というところで、ネタバレなしの感想は終わりにします。
ネタバレありの感想
ここからはネタバレありの感想です。
知っている前提で進めるため、説明抜きで感じたことをズバズバ書いています。
アルバート編について
物語導入でのワクワク感は、ネタバレなしのほうに書いたとおりです。
特に事前情報なしでプレイしていたため、探索に失敗すると、ひょっとしたら主人公が殺されてBADエンドの展開もあるかもしれないと思って読んでいました。最初は。
ただ、途中からはどうやら主人公が危険にさらされることはなさそうな気がしてきて、そこで一回、緊張の糸が切れてしまった感はありますね。
お子ちゃまのティーナがくっついてきて、探索が滞るところも、言っては悪いけど、僕には退屈でしょうがなかった。主人公はそうでもない反応でしたが。その点は、ティーナにイラついていたマコトのほうに共感を覚えました。
あと八方美人すぎる主人公の会話がちょっと見ていてつらかったですね。この点はもともと18禁ゲームであることの性なのでしょう。
表面上好き好き言っているだけなら良いんですが、まぁまぁ本気で一人ひとりに愛をふりまいていたので、なんだかなーと思いつつも、そういうもんだしなぁ様式美だしなぁ、と流す気持ちも半分。
物語前半は、設定に対するワクワク感とそれが期待通りに履行されないもどかしさとのはざまで悶え苦しんでいたというのが本音です。
本格的に面白さにエンジンがかかってきたのはLAST DAYあたりからですね。
具体的にはクリスさんがお亡くなりになるあたりから、一気に緊張度のレベルが2段階くらい引きあがりました。
どうせ安全だと思っていたところから一転、もしかすると…、という緊張感が生まれてその後のコマンド選択は手に汗握りました。
しかも立て続けに、クリスを撃ったカズミさんからの真相告白があり、さらにそのカズミさんが殺害されるという急展開。
犯人と疑われて部屋で謹慎している間に、さらにレイコさんが殺害され、しかもカズミさん殺害の犯人はレイコさんだという。
ちなみにこの時点で、レイコさんが犯人、と言われて、まぁそれなりに整合性はありそうに見える点が良かったですね。直感では絶対違うと感じつつも、完全に否定しきれない点が、この後に続くマコト編への期待感を高めてくれました。
最後のティーナとの6年間の生活は、最初は突然画面の色がセピアがかった状態になり、どういうことだと疑問だらけになるわけですが…。
アルとティーナ、2人だけのDESIREでの生活が延々と描かれます。主人公が呑気に魚釣りなんぞも始めます。
状況に慣れてくると、途中からは初見だと退屈にも感じられてくる点がポイントなのでしょうね。すべてクリアした後には、この平凡で退屈な日常の描写を読み返したくなること必至なわけですが…、最初に読んだ時点では、これで話をどう収拾させるのだろうと不安も感じつつ読み進めていました。
最後は、主人公だけが元の世界に戻ってきて物語は終了。
感想は正直にお伝えするとこんな感じ。
”えーっ?! これで終わり?? 嘘でしょ。”
はい、ちゃんと2周目が用意されていました。ホッ。
アルバート編は謎の提示が主な役割なので、この時点ではほとんどの謎が消化不良の状態で終わってしまいました。
マコト編について
アルバート編を受けて、2周目はアルの彼女であるマコトの視点から、もう一度、DESIREでの一連の出来事を見ていきます。
ネットではたいして謎が解消されないと、一部不評もあるのですが、僕はそんな風には感じませんでした。
アルバートの視点から見たときに、煮え切らない態度だったマコトの心情だったり、DESIREの技術主任という立場がマコトの行動に与えていた影響を知ることができました。
問題だったレイコさんの死の真相も知ることができました。
まぁこのあとマルチナ編でさらに事件の裏を知ることができるため、この時点でわかるのは、あくまでマコトの立場で知り得る範囲ではありますが…。
この点については、真相への関与度が、アルバート<マコト<マルチナとなっており、ちょうど中間に位置することが原因かと思われます。マコトの視界から見える真相が、ユーザーから見るとやや中途半端に見えるのは、いたしかたないのだろうな、と。
あと、ネットの感想を読むと、どうやら18禁版ではエロだらけのシナリオだったみたいですねw 読んでいて「あーここはそうだろうな」という箇所がたくさんありました。
催眠術の設定が18禁版にはなかったものとは後で知って驚きました。
この催眠の部分、あっさりと催眠術にかかるヒロインがどうしょうもなさすぎて、読むのが苦痛でした。1回目の催眠以降は、カイルが出てくるたびにうんざりしていました。しかも結構な頻度で出てくるんだこいつがw
さて、不評を買っている催眠術についてですが、これはコインを糸でたらしたお馴染みのアレを使うから、よりチープに見えてしまうんだと思いますね。
本筋のほうでは、遺伝子操作やタイムマシンのようなSFチックな、ある意味トンデモな装置が登場するわけだから、催眠術の装置も何か特別なものを設定として作ればそこまで酷いことにはならなかったんじゃないでしょうか。
カイルがらみでもう1点言うなら、最後はカイルが多少ナイスガイっぽく描かれますが、全部読んだいまでも半信半疑です。こいつは本当にマコトのことが好きなのかどうかがイマイチよく分かりません。
18禁版ではピロートークで、もうちょっとお互いの理解を深めるような会話がなされていたのでしょうかね?
いままで世間体なども含めて頭で恋愛してきたマコトが、ある種、本能的な部分で本気の恋をしたのがカイルだった、と素直に解釈したいところですが、そうするには、カイルがあまりにゲス野郎でしかないのが見ていて疲れるところです。
マルチナ編について
マルチナ編では、ストーリー全体の真相が解明されます。
研究の渦中にいるマルチナの視点で描かれるため、これまでの疑問がこれはもう見事に次々と解明されていきます。
これまでアル編とマコト編で見てきた各シーンで、マルチナが何を考え発言していたか裏側が全部見られます。
もうここからは文字通り夢中になって読みました。
マルチナ編は選択肢がない完全な1本道のシナリオであるため、より内容に集中できます。
ただ、グスタフの研究していた遺伝子操作というのが具体的にどんなものかというのだけがよく分かりませんでした。特に副作用についての説明といいますか。クリスさんがおかしくなってしまった理由などは、説明がいい加減なまま終わります。
まぁ本筋とはたいして関係がないので、そこまで気になることもありませんでしたが。
細かい点が気にならなかったのは、ティーナがマルチナと同一人物であるという事実の開示が衝撃的すぎたことも影響していますね。たぶん。
ティーナ=マルチナであるとすると、僕が捜索の邪魔だと感じた、アルに懐いてくるティーナとのやりとりやアルバート編で2人きりで6年間DESIREで生活するちょっぴり退屈なシーンなどが、実はかけがえのない素晴らしき日々であったとプレイヤー側の価値観が一変させられます。
脳のメモリーにある取るに足らない些末な記憶が、過去にさかのぼって次々とポジティブな記憶に書き換えられていく快感は、他では得難いものがあります。
ただ、菅野氏の作品を何個かプレイしていたことと、それまでのマルチナの発言内容などもあって、ほんのりSF系の真相は予見してしまっていたので、本来であればもっと衝撃を受けていたのだろうとは思います。
最後。エンドロールでTo be continued foreverと表示されると、あまりの虚無感、救われなさに放心状態に陥りました。foreverって…。
菅野作品はいくつも遊んでいますが、プレイ後はだいたいの作品でこうなります。ただ、本作はその中でも一番の放り投げられた感がありました(良い意味で)。オールクリアした手ごたえがなさすぎるんです。
作品のコンセプトとして、繰り返しの運命に捉われたマルチナの存在があるために、そうなるのでしょうね。この鬱々とした読後感は、毎度のことながら癖になります。
マルチナ編クリア後に、後付けで作られた一応のハッピーエンドが見られたのですが、あまりしっくりきませんでしたね。
僕にはハッピーエンドだとは思えなかったです。
どの次元に存在するアルとティーナもすべて同一の人物と見なせばハッピーなのかもしれませんが、ゲームをプレイした人の多くは、自分の分身として関わっていたアルとティーナが、元の世界の延長線上でハッピーになる運命はなかったのだろうかと、そんなことを考えてしまうのではないでしょうか。
個人的な妄想(こんなシナリオでも良かったのに、という話)
アルバート編の前に、ティーナが出てこないシナリオが1本あっても面白かったような気もします。
そのシナリオを経て、アルバート編をプレイするとティーナが登場する(もちろんティーナ=マルチナとは明かさずに)
ティーナの登場により、これまでと事態が少しずつ変わっていって、最終的にはマルチナの運命を変えることができる。
つまりこの場合は、永遠にはループしないお話になってしまうわけですね。
似たような話を2回読むことになるので、ダレてしまいそうな気もしますが、まぁ妄想ということで。
あと別のゲームなので言及は避けますが、YU-NOをプレイするとDESIREのSF設定の解釈に多少納得がいきやすくなる感はありました。アル編で夢にティーナが出てくることとか。
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